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23階の笑い

シス・カンパニー公演 23階の笑い  2020年12月

ニール・サイモンの93年初演作を、三谷幸喜の上演台本・演出で。うたかたの笑いに誇りをかける者たちの、可笑しくも切ない群像。全開の三谷節が心地いい、良質のコメディだ。翻訳は徐賀世子。市松配置ではなく、なんと席間にこげ茶の不織布パーティションを立てた世田谷パブリックシアター、中央あたりで1万2000円。テンポがよく、休憩なしの2時間も長く感じない。

時はマッカーシズム吹き荒れる1953年。マンハッタンの高層ビルの1室で、大物コメディアン、マックス・プリンスを囲み、放送作家たちが冠バラエティ番組のコントを練っている。テレビ局上層部から予算削減や放送時間短縮を突きつけられて…
ネタ作りは毒舌、喧嘩なんでもあり、隙きあらば笑いを盛っていく真剣勝負だ。そして本番はマックスの即興センス次第。現場への愛着が温かいだけに、政治的軋轢、なにより大衆の飽きという現実が残酷で、コロナによる配信台頭とも重なる。

どこかしらはみ出した作家7人+秘書が生き生きして、アテ書きのよう。マックスの小手伸也が、体を張った笑いで突出し、常に体調不良の梶原善が、マックスとの絆でしみじみさせる。若手も紅一点の松岡茉優が期待通り凛とし、狂言回しの若手・瀬戸康史も明朗。ほかに白シーツの気取り屋・吉原光夫、ひときわ弁が立ち、ハリウッドに転身する鈴木浩介、ロシア移民のシュールな山崎一、調子っぱずれの秘書・青木さやか、浅野和之が冷静に全体を引き締める。これが三谷のショーマンシップなんだろうなあ。
ラスト、街灯の明かりに9人が並ぶシーンが美しい。窓のビル影や雪も洒落ている美術は堀尾幸男、雄弁な照明は服部基。

20201220-010

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