三三「浮世根問」「三軒長屋」「柳田格之進」
柳家三三プレミアム独演会「三三協奏曲2020秋」~三三の奏でに聴き入る・浸る~ 2020年11月
「たっぷり長講2席、あえてオンライン配信無し」との独演会。よみうり大手町ホールの前方、上手寄りで、市松とはいえ高めの6500円。中入りを挟み2時間強。主催は産経新聞社。
開口一番は柳亭左龍の弟子の柳亭左ん坊。ひょろっと現れて「浮世根間(ねどい)」。ハつあんが隠居に昼をご馳走になろうとおしゃべりし、嫁入りや極楽について根掘り葉掘り。手堅い。
三三は「左ん坊ユニークでしょ、師匠の左龍とは同期」「週末の大手町は閑散としてる、会場は大企業、ちょっと高いのは大人の事情、巨人2連勝の垂れ幕が気になるのは広島ファンの自分だけ?」と笑わせ、三平のものという三軒並んだラーメン屋の小咄を振って「三軒長屋」。談春さんで2回聴いていて、上下に分けたりしてた。きっぷの良い女将さん、呑めば喧嘩の鳶の面々、いつもながらのヨタ、色っぽいお妾と小間使い、質屋・伊勢勘、武張った剣術道場の先生、質屋から50両せしめる痛快な鳶の頭と、大勢の人物をくっきり演じ分けるのがさすが。テンポがよくて、若いもんたちが小間使いを冷やかす、喧嘩の刃物が壁を突き破っちゃう、それはヤカンじゃない私の頭だ等々、ギャグもたっぷりで楽しい。
中入り後は出囃子(金山はる社中)の「中(ちゅう)の舞」はトリ専用、一杯で頭を下げるようにテンポを調節する、たまに合わないと可笑しい、とさりげなくライブを強調して、じっくりと「柳田格之進」。志の輔で聴いたあと、談春が自分には理解できないと言ってたのが印象的だったけど、三三は端正に、お説教ぽさを抑制してた。特に正月の湯島天神の切り通し、雪の坂で立派な身なりの格之進が番頭に声をかけるシーン、格之進の「格」が目に浮かぶようでお見事。娘おきぬを苦海に沈めず拝領の刀を売る、としてラストにつなげるパターンでした。
終演後はロビーで全員に、演目が入った直筆サイン色紙を配る大サービスでした!
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