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顔見世「蜘蛛の絲宿直噺」「身替座禅」

吉例顔見世大歌舞伎 第一部 第二部 2020年11月

人間国宝・藤十郎さんの悲報もあった11月。快晴の連休に歌舞伎座へ。引き続き感染対策で1幕ものの4部制で、飲食や掛け声禁止だけど、猿之助の衰えないキレと抜群のエンタメ力を楽しむ。リーフレット配布だった筋書、そして桟敷もひとりずつだけど復活してました。一部、二部それぞれ前の方中央のいい席で8000円。

一部「蜘蛛の絲宿直噺(およづめばなし)」は顔見世らしい派手さで、40分が本当にあっという間だ。源頼光の土蜘蛛退治を題材にした変化舞踊で、「市川猿之助五变化相勤め申し候」とうたい、早変わりが理屈抜きに見事。曲芸的スピードだけでなく、变化そのもののの落差もみせるところが頭脳派らしい。常磐津連中、長唄囃子連中と、演奏も分厚く。振付・藤間藤十郎。

そもそも頼光の臥せっているのが遊郭、という設定が面白い。女郎蜘蛛だもんなあ。冒頭は坂田金時(猿弥、赤っ面と張りのある声がぴったり)、碓井貞光(中村福之助、なかなか凛々しい)、それぞれの妻で安定コンビの八重菊(笑三郎)、桐の谷(笑也)が貞光を案じている。宿直の場なのに女房がいるのも、おおらか。セリフに魔物=コロナ退散の願いを散りばめていて、拍手が起きる。江戸の人々も同じような気持ちで観たのかも。
いよいよ濃茶をもって女童(猿之助)登場。さすがに可愛らしいとはいえないけど。続いて薬を飲ませるといって小姓・澤瀉(猿之助)が寝所に迫る。番頭新造(猿之助)は色っぽく、傾城・薄雲の文を持参。逃げる折いちいち糸を繰り出して、黒衣がっコンビネーションよく回収する。太鼓持(猿之助)に至って狐忠信ばりの軽業を披露。渡辺綱の鬼退治と、廓の達引を物語る。変化はいろんなパターンがあって、このへんが今回の工夫のようです。2017年の大怪我以来という欄間抜けも!
天井からでっかい蜘蛛が現れるうちに、前方のセットがはけて頼光(隼人)の寝所に。見舞いに来た絢爛豪華な薄雲(猿之助)が、やがての本性を表し、お約束のぶっかえり&立ち回り。ラストは盛大に千筋の糸を撒き散らし、天井からも下がって派手でした!

2時間のインターバルがあり、近所でランチしてから第二部「身替座禅」を1時間。狂言の極思習(ごくおもならい)「花子」をもとに、明治43(1910)年初演され、6世菊五郎が新古演劇十種のひとつにした。
大名・右京(菊五郎)は恋人・花子に会いたくてたまらず、持仏堂で座禅をすると偽り、太郎冠者(権十郎)に座禅衾(ざぜんぶすま)を被らせ、身替りにして屋敷を抜け出す。悪計はあえなく露見し、恐い奥方・玉の井(ゴツ過ぎの左團次)が座っているとも知らず、ほろ酔いで帰った右京は、常磐津連中、長唄囃子連中の掛け合いにのった仕方話で、のろけまくっちゃうから、さあ大変。
浮気男と嫉妬妻の、バカバカしくも愛情あるやり取りは菊五郎さんらしい。自粛の影響か、ノリは今ひとつだったかな。侍女の尾上右近、米吉が期待通り美しく、仕草も綺麗で贅沢でした。
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