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真夏の夜の夢

真夏の夜の夢  2020年10月

シェイクスピアのファンタジー喜劇を野田秀樹が大胆に潤色し、1992年に初演した戯曲。演出は2017年「リチャード三世」が衝撃だった、ルーマニア「暗黒演劇」のシルヴィウ・プルカレーテだ。プルカレーテと、美術・照明・衣装のドラゴッシュ・ブハジャールは9月に来日が実現したそうで、関係者の執念にまず脱帽。舞台はスタイリッシュだけど、身構えてたほど強烈ではなかったかな。東京劇場プレイハウスの後方中央で8500円。休憩なしの2時間。

舞台は欲望が解放される夏の森。原作は若い男女と妖精の王・女王という男女3組の恋が、魔法によって掛け違っていくお馴染みのドタバタだ。ケルトっぽいトリックスター・妖精パックが活躍する。これを野田版では富士の裾野、料亭の跡取り娘の駆け落ちに置き換え、ポップと言葉遊び(「年の精」=としのせいとか)をてんこ盛りに。なにより悪魔メフィストを登場させちゃってパックとすり替えちゃう離れ業だ。
今回は巨大パネルの移動で人物をスピーディーに入れ替え、映像も大胆に使用。メフィストを巨大にしたりして面白い。ひらひら衣装の、愚かで可愛い人間たち。ラスト、全員が横一列になってのカーテンコールは、観客とともに何とか舞台を成立させた感慨を印象づける。まあ、ニナガワだったらこれを幕開きにやるかな、という気もしちゃうけど。

メフィストの今井朋彦が、明晰なセリフ回しと気取った立ち姿で突出。こういう人をくった役どころは、余人をもって代えがたいです。その分、パックの手塚とおるは電子レンジに閉じ込められちゃてて、持ち前の曲者ぶりが抑えめに。
手足もあらわに森を跳ね回る鈴木杏(そぼろ)が、溌剌としてチャーミング。7月の一人芝居が圧巻だっただけに、期待通りというところ。女王タイテーニアの加藤諒が、予想外にアニメのキャラっぽい存在感を発揮してた。カーテンコールでも飛び抜けて小柄で、ベテラン女優のように振る舞ってましたね。
ときたまごの爽やか北乃きい、板前デミの太っちょながら切れのいい加治将樹、板前ライのすらりとした矢崎広が、それぞれ健闘してた。ほかに王オーベロンの壤晴彦、阿南健治(妖精と2役)、朝倉伸二、長谷川朝晴、山中崇、河内大和…と安定の布陣。もっとも怪優・茂手木桜子以外は、白塗りで俳優と役が遠目にはわかりにくいのが難だったかな。
20201031-008

 

 

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