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大地

大地 Social Distancing Version  2020年10月

番外編で、新生PARCOに三谷幸喜が書き下ろし・演出。コロナ禍の3カ月ぶり再開第1弾で話題だった舞台だ。7月の上演で、配信チケット(3000円)を購入するも悔しいことに通信が不安定で楽しめず、WOWOWの中継で。3時間。

銅鑼の音でスタート、とある独裁政権の収容所の、斜めに並んだ独房のワンセットだ(美術は堀尾幸男)。生命を脅かされる極限状況で、演じることを禁じられた俳優たちが、それぞれ渾身の寸劇を見せる。そこに俳優さえいればイマジネーションを喚起できる。三谷ならではの笑いと「俳優愛」が冴えまくる。
なんといってもチャペック・大泉洋の切なさが突出。スターたちのなかで一人だけ脇役という激しい劣等感、それでも演劇を愛するピュアな思い、生活力があるのは自分だけ、何としても生き残ってみせるという裏方の気概。ラストで大泉=観客の不在にスポットをあてて、泣かせる巧さ。2018年末の執筆というから巡り合わせにせよ、いや、だからこそ、現実にあらゆるエンタメが制約された状況で、三谷喜劇の普遍性が際立つ。

テーマが胸に響くのは、中盤、爆笑の演技合戦が素晴らしいからこそ。なかでも浅野和之のマイムは圧巻だ。ありもしないご馳走を食べて盛り上がり、突風をついて進む。いやいや、できないことがない人だなあ。
座長・辻萬長の泣かせるドサ芝居、スカシまくる銀幕の2枚目・山本耕史も伸び伸び。大道芸人・藤井隆、理屈っぽい相島一之が安定し、女形の竜星涼、弾ける紅一点まりゑ、舞台道楽の指導員・栗原英雄、冷酷な役人・小澤雄太も健闘。
回想を語る舞台回しは、若手の濱田龍臣が明朗に。過酷な結末から幻想の一座出立まで、余韻が深い。

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