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梶原平三誉石切

十月大歌舞伎 第三部  2020年10月

先月の吉右衛門さんに続き、歌舞伎座は仁左衛門さん復活の第三部へ。前の方中央のいい席で8000円。一幕1時間ちょっと。10分ほど縮めているそうです。
梶原景時といえば、義経を讒言して死に追いやった敵役、が定番の梶原が、この「石切梶原」では情理兼備の立派な武士に描かれる本作。新開場の2013年に観たときは、吉右衛門さんが威風堂々だったけど、今回は16年ぶりというタイトロール仁左衛門さんの舞台への情熱、独特の色気と茶目っ気があふれて、理屈抜きにに楽しかった。

セットはうららかな春の鶴ケ岡八幡社前。梶原、大庭(彌十郎)、俣野(男女蔵)らが呑んでいるところへ、青貝師(螺鈿工、実は頼朝臣下)の六郎太夫(歌六)と娘(孝太郎)が刀を売り込みに来る。梶原が鑑定を引き受け、名刀と称賛したのに、俣野が疑って試し切りを言い出す(「目利き」)。囚人のコミカルな「酒尽くし」の後、六郎太夫が犠牲になろうとする。梶原はわざと失敗して六郎太夫を助け(「二つ胴」)、あざ笑う大庭らが去ると、今は平氏配下だが実は源氏の味方で、石橋山では頼朝を助けたと明かす。見事に手水鉢を一刀両断してみせ、名刀を買い上げると告げる(「石切り」)。
仁左衛門さんは後世悪名を受ける覚悟を胸に、竹本にのったセリフが美しくて感嘆。70代半ばにして、半年に及ぶ休演は辛かったろうに、「勧進帳」全役の朗読などで鍛えていたというから、サスガだ。そして大詰め、手水鉢を切るシーンは15代目羽左衛門型で、派手に前へ飛び出す。明朗。三味線のリズムに愛嬌があふれて、スカッとします。
それに比べると、歌六は巧いんだけど、ちょっと声が衰えたかな。赤っ面の男女蔵が、キビキビといい憎まれ役。頼朝の衣笠城立てこもりを知らせに来るだけの奴に隼人。

席は引き続きディスタンスだけど、隣のお着物の女性一人客が、年季の入った松島屋ファンなのか、大向うのタイミングですかさず拍手していて、あー、歌舞伎座っていいなあ、と思いました。1幕だと物足りないのは致し方ない。
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