十二人の怒れる男
COCOON PRODUCTIPN2020 DISCOVER WORLD THEATRE vol9 十二人の怒れる男 2020年9月
「死と乙女」のリンゼイ・ポズナーがロンドンから遠隔演出、徐賀世子訳。米国の現状を思わせる、差別の醜さが際立つ舞台だ。休憩なし、充実の2時間。
少年は有罪か無罪か、お馴染みレジナルド・ローズ作の緊迫した討論劇だけに、リアルならではの空間の共有が有難い。連絡先の事前登録など、慎重な感染対策が続くシアターコクーンで1万800円。客席の前の方から長机の陪審員室をしつらえ、舞台側にも客席を作ってステージを挟むかたち。通常の袖の通路を通って、舞台側上手寄りに座るのは新鮮だ。シンプルな美術・衣装はピーター・マッキントッシュ。
「十二人の…」と言えばシドニー・ルメットの映画では陪審員8番(ヘンリー・フォンダ)の正義が痛快であり、2009年の蜷川版では3番(西岡徳馬)の父としての哀愁に胸を打たれた。
今回は、ただただ怒鳴り散らす不愉快な10番(円の吉見一豊)が、偏見の醜さを体現して印象的。終盤、ほかの11人が自分の心の中を見せつけられる思いに、背を向けて息を詰めるシーンが鮮烈だ。演出やタイミングによって、これほど変わる。演劇は生き物なんだなあ。
俳優陣はみな達者。特に説得力抜群の8番の堤真一、こだわりの強い3番の山崎一、論理的で格好いい4番の石丸幹二あたりは、後ろ向きでもセリフが明晰だ。スラム育ちの過酷を語る5番の少路勇介、チャラい広告マン12番の溝端淳平が個性を発揮。ヤンキー7番で舞台2度めの永山絢斗も頑張ってた。ほかに三上市朗、梶原善らが常識人として安定。
元は1954年のテレビドラマだから当然なんだけど、全員男性でジャケット着用。その違和感も一興ですね。演出は時差のため、日本時間の夜間、カメラ3台で中継したとか。この情熱が貴重。
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