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ボーイズ・イン・ザ・バンド

ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~ 2020年7月

なんと5カ月ぶりで舞台に足を運ぶ。シアターコクーンは半券に連絡先を書いて自分で箱に投入したり、飲食禁止だったり、前方にフェースシールドが配られたり、と厳戒態勢で、かなり緊張しました~ 1席おき、前の方正面の再販売で1万2000円。休憩なしの2時間。

エリア・カザンの助手も務めたマート・クローリーの1968年の戯曲を、2018年上演のブロードウェイ版(トニー賞獲得)で。上演台本・演出はお洒落な白井晃だ。
ゲイの告白を正面から描き、初演当時センセーショナルだったというストーリーは、今となっては現代史をみる印象。しかし自分の恥ずかしいコンプレックスを正視できず、それでも大切な人に受け入れてほしいと懸命にもがく、男たちの群像は古びていない。LGBTに加えて米国で改めてクローズアップされている人種差別や、格差、宗教、薬物依存、普遍的な親との葛藤も描かれる。愛する人に愛してると告げられない、切なさと可愛らしさ。

ステージはニューヨーク、アッパーイーストサイドにある、マイケル(安田顕)のアパートのワンセットだ。ゲイ仲間の誕生パーティーを開き、妖しいダンスで盛り上がっているところへ、ストレートの旧友アラン(大谷亮平)が現れ、ゲイへの嫌悪を口にして場は険悪に。そこへズケズケものを言う主役のハロルド(鈴木浩介)が到着、マイケルはよりによって、最も愛する人に電話をかけるという残酷な告白ゲームを始めてしまう。

地味なキャストだけど、安田、鈴木、浅利陽介の巧さが際立つ。安田はハリウッドの虚飾に疲れ、周りを傷つけ自分も傷つきながら真実を求める脚本家を熱演。鈴木も皮肉屋で自意識過剰のジューイッシュがはまり、浅利はオネエのエモリーを達者な身振りで演じ、存在感を発揮する。
ほかのキャストもそれぞれ見せ場があった。妻子もあって常識人ぽい教師ハンクに凛々しい川久保拓司、その同棲相手で浮気症のラリーに、宝塚スターみたいな声の太田基裕、心優しい黒人バーナードにカーリーヘアの渡部豪太、おバカな男娼カウボーイに富田健太郎。そして物静かな読書家ドナルドの馬場徹が、ラストにがっしりした体躯で包容力を示す。つかこうへい最後の愛弟子だそうです。

セットは1FがLDK、2Fが寝室とバスルームになっていて(美術は松井るみ)、演出も緻密で立体感があって、目が離せない。ハロルドがいつもポケットに入れている櫛とか。役者はほとんど出ずっぱりで、手前で誰かが会話している間、誰かが下手のバーカウンターや奥のキッチンで声を出さずに会話してたり、上手の階段で耳をすませていたり。
ラストで後方に浮かぶ、摩天楼の夜景が美しい。開演直前までと終演直後は、換気のためバックドアを開放してましたね。

20200723-003

 

 

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