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一之輔YouTube落語生配信 第2幕

春風亭一之輔の10日連続落語生配信 第2幕 2020年5月

 

4月に続いて、今度は浅草演芸ホール夜の部トリをつとめるはずだった時間に配信。今回は日替わりで色物のゲストも登場、寄席への誘いがパワーアップした。才人です。
9日目まで神保町らくごカフェ、最終日は浅草の舞台から。コロナでギスギスする日常だから、庶民の助け合いの噺が気持ちいい。「加賀の千代」では隠居がお気に入りの甚兵衛さんに、どんどんお金を貸そうとしちゃうし、「意地くらべ」では隠居と下駄屋の旦那が、八五郎が金を返そうとするのに受け取れない、とひと騒動。決して憐れみや施しではないんだなあ。
バカバカしい噺になんとも言えない愛嬌があるのも魅力。一日の疲れがとれます。尾頭だけで身がない鯛が騒動をよぶ「猫の災難」で、床にこぼれた酒をなめちゃうところとか、素人芝居(天竺徳兵衛のガマガエル!)の「蛙茶番」で、舞台番が片思いの娘をダシにされて乗り気になっちゃうところとか。「普段の袴」の冒頭、武士の立派な服装を歯切れよく説明するところも好き。とんでもない「釣りの番」を引き受ける「夢見の八兵衛」は、ちょっと怖かったけど。
ゲストはそれぞれ個性的。特に三味線の師匠たちが寄席ならではだ。

 

5・21 あくび指南 ゲスト:林家正楽
5・22 天狗裁き ゲスト:江戸家小猫
5・23 猫の災難 ゲスト:柳家小菊
5・24 短命 ゲスト:三増紋之助
5・25 蛙茶番 ゲスト:アサダ二世
5・26 夢見の八兵衛 ゲスト:ロケット団
5・27 普段の袴 ゲスト:のだゆき
5・28  意地くらべ ゲスト:林家二楽
5・29  加賀の千代 ゲスト:立花家橘之助
5・30  明烏 ゲスト:鏡味仙三郎社中

 

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フレディ・マーキュリー・トリビュート・コンサート

フレディ・マーキュリー・トリビュート・コンサートFreddie Mercury Tribute Concert  2020年5月

番外編で、クイーンの公式YouTubeチャンネルで鑑賞。DVDにもなっている録画を短縮し、WHO支援のため48時間限定で公開するオンラインイベントだ。
1992年4月20日、1985年ライヴ・エイドの伝説も生んだ英ウェンブリー・スタジアムで開催。デヴィッド・ボウイ、エルトン・ジョンら大物が次々登場するわ、聴衆7万2000人が大合唱するわで、ものすごい熱気です。
これは前年に45歳でエイズに倒れたフレディ・マーキュリーの追悼イベントとして開催され、当時の収益はエイズ撲滅チャリティーに使われたとか。エイズがいまや投薬でコントロールする病になったことを思うと、コロナとの闘いにも光が見える気がしてくる。今回はGoogle.orgとYouTubeが最大5億5000万円の マッチングドネーションも実施。

今回公開されたのはコンサート後半、メンバー3人とゲストのジョイント部分で、1時間半の編集バージョン。「RADIO GA GA」「Somebody To Love」は誰が歌っても会場を一つにする名曲と、改めて実感する。パフォーマンスとしてはジョージ・マイケルがさすがの色気を、アクセル・ローズが常に変わらない子供っぽさを存分に発揮してた。
でも一番印象的だったのはラスト、特にフレディと仲良かったとされるロジャーの一言と、ジョンの律儀すぎるお辞儀かな。ジョンは「ボーカルはフレディ以外ありえない」と共演をしぶっていて、これがクイーンとして出演した最後の大規模ライヴになったそうです。感慨深い…
以下、公開されたセットリストです。

1「タイ・ユア・マザー・ダウン」 Tie Your Mother Down
 クイーン+ジョー・エリオット(デフ・レパード)+スラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズ)
2「アイ・ウォント・イット・オール」 I Want It All
 クイーン+ロジャー・ダルトリー(ザ・フー)+トニー・アイオミ(ブラック・サバス)
3 「ラス・パラブラス・デ・アモール (愛の言葉)」 Las Palabras De Amor (The Words Of Love)
 クイーン+ズッケロ
4「ハマー・トゥ・フォール」 Hammer To Fall
 クイーン+ゲイリー・シェローン(エクストリーム)+トニー・アイオミ
5「ストーン・コールド・クレイジー」 Stone Cold Crazy
 クイーン+ジェイムズ・ヘットフィールド(メタリカ)+トニー・アイオミ
6「愛という名の欲望」 Crazy Little Thing Called Love
 クイーン+ロバート・プラント(レッド・ツェッペリン)
7「トゥ・マッチ・ラヴ・ウィル・キル・ユー」 Too Much Love Will Kill You
 クイーン+スパイク・エドニー
8「RADIO GA GA」 Radio Ga Ga
 クイーン+ポール・ヤング
9「リヴ・フォーエヴァー」 Who Wants To Live Forever
 クイーン+シール
10「ブレイク・フリー (自由への旅立ち)」 I Want To Break Free
 クイーン+リサ・スタンスフィールド
11「アンダー・プレッシャー」 Under Pressure
 クイーン+アニー・レノックス(ユーリズミックス)+デヴィッド・ボウイ
12「すべての若き野郎ども」 All the Young Dudes
 クイーン+イアン・ハンター(モット・ザ・フープル)+ミック・ロンソン+デヴィッド・ボウイ
 +ジョー・エリオット+フィル・コリン(デフ・レパード)
*ボウイはサックス・コーラスで、アルバム以来の貴重な音源とか。
13「'39」
 クイーン+ジョージ・マイケル
14「輝ける日々」 These Are The Days Of Our Lives
 クイーン+ジョージ・マイケル+リサ・スタンスフィールド
15「愛にすべてを」 Somebody To Love
 クイーン+ジョージ・マイケル+ザ・ロンドン・コミュニティ・ゴスペル・クワイアー
16「ボヘミアン・ラプソディ」 Bohemian Rhapsody
 クイーン+エルトン・ジョン+アクセル・ローズ(ガンズ・アンド・ローゼス)
17「ショウ・マスト・ゴー・オン」 The Show Must Go On
 クイーン+エルトン・ジョン+トニー・アイオミ
18「ウィ・ウィル・ロック・ユー」 We Will Rock You
 クイーン+アクセル・ローズ
19「伝説のチャンピオン」 We Are The Champions
 クイーン+ライザ・ミネリ+全キャスト
20「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」

 

Nightly Opera Streams: Lucia di Lammermoor

Lucia di Lammermoor  2020年5月

番外編のNETオペラのストリーミングで、ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」を鑑賞。2017年に新国立劇場で聴いたほか、METのライブビューイングでデセイ版、ネトレプコ版でそれぞれ聴いたことがある、超絶技巧の演目だ。

今回の配信はオペラファンチョイスの1982年版。タイトルロールのジョーン・サザーランドはベルカントに光をあて、パヴァロッティを見い出したオペラ界の功労者で、なかでもルチアは1959年コベントガーデン公演で注目された代表作とのこと。知らなかったなあ。指揮はもちろんリチャード・ボニング。パートナーとしてサザーランドにコロラトゥーラを勧めた人とのことです。

サザーランドはオーストリア出身のソプラノ。身長170センチ台でごついし、たぶん最盛期の美声ではないんだろうけど、貫禄の強靭さが素晴らしい。恋人エドガルドは、やはりルチアを得意としたというアルフレード・クラウス・トルヒージョ(スペインのテノール)で年齢を感じさせない華麗さ。ふたりとももう故人です。そして兄エンリーコはパブロ・エルバイラ(プエルトリコのバリトン)。演出は手堅いブルース・ドンネル。

志ん朝「愛宕山」「文七元結」

落語研究会 古今亭志ん朝 全集 上  2020年5月

番外編でNHKドキュメンタリー「落語を救った男たち」(2017年)の録画を観て、TBS「落語研究会」DVDのBOXセットから2演目を鑑賞。談志が大笑いしたという「愛宕山」(1987年3月)。粋な旦那にくっついてピクニックに出掛けた怠け者の幇間が、瓦投げの小判をやると言われ、谷底へ降りていく。
欲と怖さでウロウロする滑稽さ、傘を持って飛び降りたり、崖をよじ登ろうとしたり、の荒唐無稽なスペクタクル。端切れがいいなあ。

もう1席は、正蔵さんにサウナで指南したという「文七元結」(1997年11月1)。流れるような筋運びで、角海老の使いの者や女将らの人物造形はさらっとしている。何かと品があると言われるゆえんか。
吾妻橋シーンも長兵衛の葛藤やプライドを、さほどこってり掘り下げない。むしろ投げつけられた包みが本当に50両だと気づくときの、文七のピュアな驚きが印象的。真面目だから、戸惑いが勝って喜べない。リアルだなあ。この身も世もない複雑な心境があるから、トントン拍子のハッピーエンドが痛快です。

クレシダ

クレシダ  2020年5月

平幹二朗最後の出演作となった舞台「クレシダ」を、番外編の録画で鑑賞。英国のニコラス・ライトが2000年に発表した戯曲を、芦沢みどり翻訳、森新太郎のシャープな演出で。2016年9月にシアタートラムで上演、シーエイティプロデュース。
1630年代ごろ、声変わり前の少年が女役だった時代のロンドン・グローブ座。劇場に居場所を見つけようともがく孤児スティーブン(浅利陽介)に、かつて名優だったけど、いまやその面影はないシャンク(平)が演技をつける。新旧のぶつかり合い、時代の移り変わりの残酷さと、その先に宿る舞台職人同士の敬意が染みます。

圧巻は上演時に評判だった2幕、「トロイラストとクレシダ」の熱血指導シーン。そこに至るまでのバックステージ模様がうまい。シャンクは金にだらしなく行きあたりばったり、スティーブンはなんとも不器用でちぐはぐで、ろくにセリフをしゃべれない。モテモテの花形女役ハニー(橋本淳)がからんで、1幕は下世話などたばたが繰り広げられる。
しかしスティーブンを急遽クレシダに仕立てるはめになり、スイッチが入ったシャンクは、シェイクスピア悲劇のセリフ回しを堂々ときかせる。平の落差と存在感。その大時代さに、浅利もなかなかどうして、負けてないのが偉い。必死に食らいつき、自分の道を見つけていく。

散りばめられるシェイクスピアのセリフも楽しく、高橋洋、花王おさむが安定の達者さでワキをかためる。シャンクの死の床を表す、幻想的な雲のセットが効果的だ。美術は堀尾幸男。

英国ロイヤル・オペラ・ハウス 椿姫

Royal Opera House's #OurHouseToYourHouse series  La traviata   2020年5月

番外編のストリーミングで、英国ロイヤル・オペラの「椿姫」を鑑賞。情感豊かなヴィオレッタのルネ・フレミングはじめ、スター揃いのキャストにアントニオ・パッパーノのドラマティックな指揮の組み合わせで、名場面の連続、捨てるところのない舞台だ。

アルフレードのジョセフ・カレヤ(ジョゼフ・カリージャ)が伸び伸び。陰影ある父ジェロモンのトーマス・ハンプソンは、先日のフィレンツェ歌劇場のガラ・コンサートに登場してましたね。演出がこれまたリチャード・エア、1994年初演の人気プロダクションだそうで、奇をてらわず、しかしヴィオレッタ宅の絵画や書物といった細部の作り込みや、ダイナミックなカジノのバレエシーンなど隙なく美しい。

12人の優しい日本人 を読む会

12人の優しい日本人 を読む会  2020年5月

StayHomeWeek最終日の番外編は、三谷幸喜が東京サンシャインボーイズ時代に書き下ろした名作「12人の優しい日本人」の読み合わせを、YouTube生配信で鑑賞。出演者全員が自宅からZOOMで語るスタイルで、会議の戯曲を会議ツールで見せるというセンスが光る。

近藤芳正が発起人となり、盤石のオリジナルキャストを中心に吉田羊、Prayers Studioの妻鹿ありか、渡部朋彦を加えた豪華メンバー。冒頭と、なんとピザ配達人でヒゲの三谷さんが登場! 繰り返される「話し合いましょう」というセリフ、分断とストレスの時代に人の意見を聴くこと、独善を超えていくことが、心にしみる名演だ。演出は三谷フリークだというアガリスクエンターテイメントの冨坂友。14時から前半、長い休憩を挟んで18時から後半。雷鳴を聞きつつ1万人以上が視聴し、「無料なんて申し訳ない」とのコメントも多数。

物語は「もし日本に陪審員制度があったら」という架空の設定で、12人の一般市民が協議する。評決は全会一致が原則で、いったん全員が無罪に挙手したのに、陪審員2号が有罪を主張、それぞれ意見が二転三転していく。「ジンジャエール!」など「名台詞」でたっぷり笑わせつつ、付和雷同やら意固地やら拗ねモードやら、個性とバックグラウンドが見えてきて身につまされる、緻密な群像会話劇だ。「12人の怒れる男」の論理と正義感に比べて、日本人のなんとグダグダなことか。
劇団で1990年、91年、92年に上演。個人的には2005年パルコプロデュース版の録画(生瀬勝久、江口洋介ら)、1991年の映画版(中原俊監督、豊川悦司ら)を観たことがあるけど、全くひけをとらない感動でした。分割画面で舞台さながら、しゃべっていない人物の挙動をつぶさに観られるのが面白い。一人ずつ去っていくカーテンコールも巧かった。

1号…甲本雅裕
2号…相島一之
3号…小林隆
4号…阿南健治
5号…吉田羊
6号…近藤芳正
7号…梶原善
8号…妻鹿ありか
9号…西村まさ彦
10号…宮地雅子
11号…野仲イサオ
12号…渡部朋彦
守衛…小原雅人

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Maggio Musicale Fiorentino At-Home Concert

Maggio Musicale Fiorentino At-Home Concert 2020年4月

今度は番外編で、フィレンツェ歌劇場のガラ・コンサートをストリーミングで。日本時間4時からで、うとうとしながらだったけど。
METほど豪華、洗練されてはいないものの、温かい雰囲気。イタリアらしいアバウトさもいい。

冒頭は名誉首席指揮者ズービン・メータが、途中からマスクをとって語り、それからはグリゴーロ、ダムラウ、ヨンチェヴァら、お馴染みのスターが自宅で歌って満足。アメリカのソプラノ、リゼット・オロペーサは綺麗だな。引退したヌッチは口ずさむだけだったけど、元気な姿が見れてよかった。

自宅にシャンデリアが多かったかも。

Alexander Pereira presents.

Zubin Mehta
Krassimira Stoyanova
Nicola Alaimo
Eva Mei
Ambrogio Maestrl
Piero Pretti
Thomas Hampson
Anna Pirozzi
Vittorio Grigolo
Diana Damrau
Sonya Yoncheva
Mikhail Petrenko
Sara Mingardo
Jose Maria Siri
Ludovic Tézier, Cassandre Berthon
Francesco Meli
Cecilia Bartoli
Luca Pisaroni
Rosa Feola
Michele Pertusi
Lisette Oropesa,
Leo Nucci
Saioa Hernández Francesco Galasso
Luca Salsi,
Fabio Sartori

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