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講談「早野三平」

吉例古遊座新年会  2020年2月

恒例の古典好き仲間の会で、神田春陽さんの講談を聴く。赤穂義士外伝から「早野三平」をショートバージョンで。関西の師匠に習ったとかで珍しい演目だ。
早野三平=萱野重実は歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」の勘平のモデル。勘平といえば、おかるとの恋に道を踏み外し、間違って親を撃ったと思い込み…とさんざんなダメ男ぶりが、グッとくるキャラ。ところが講談版だと、歌舞伎と共通するのは、討ち入り参加を切望しながら事前に切腹しちゃう、という点だけ。むしろ忠孝のはざまで苦悩する、知的な若者という印象だ。
松の廊下事件の後、江戸上屋敷にいた三平は、赤穂への使者を志願し、飛脚でも8日かかるところを4日で走破。道中、豊中でよりによって母の葬儀に出くわすが、振り切って走り続ける。その後も討ち入りを期すものの兄らに孝行を迫られ、結局28歳で命を絶つ。大石は思いをくんで48人目の義士と認めた、というお話。壮絶です。
春陽さん、江戸前の啖呵も痛快だけど、こういう正統派の、苦悩を語る話も渋くていいなあ。今年もご活躍ください!

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