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タージマハルの衛兵

シリーズことぜんvol3  タージマハルの衛兵   2019 年12月

令和元年も年末にきて、重い舞台を観てしまった。オハイオ出身のインド系作家、ラジヴ・ジョセフによる2015年の2人芝居を、名翻訳家の3代目・小田島創志の訳、小川絵梨子演出で。エグ過ぎる設定と、弱い個人が突きつけられる究極の選択。目を背けたいんだけど、ぐいぐい引きづられる。新国立劇場小劇場の前のほう、やや下手寄りで5832円。休憩無しの1時間半。

舞台は1648年、インド・ムガル王朝の都市アグラ。建設に20年以上を費やした王家の霊廟タージマハルが、ついに完成の日を迎える。生真面目な若者フユーマーン(成河)は、共に警備につく幼馴染みバーブル(亀田佳明)のやんちゃぶりに気を揉んでいる。やがて皇帝シャー・ジャハーンの残酷きわまりない命令が、2人を追い込んでいく。
権力の理不尽に対する怒りというよりも、フユマーンの深い絶望が胸をつく。凡人の保身、狡さは、誰だって覚えがあること。やってしまってからの、圧倒的な喪失感がなんとも辛い。だからといって、どんな選択肢があったのか。歴史で繰り返される、人間性否定の罪深さ。

小柄な成河が醸し出す切なさは、期待通り。対する自由人、亀田も達者だ。「岸 リトラル」主演も凄まじかったけど、今回の方が存在感が強かった。文学座恐るべし。
凄惨なシーンがある一方で、荘厳なタージマハルの光景や妄想の発明品など、観る者の想像力に訴える手法も印象的だ。特に空をいく鳥の群れの、自由への憧れ。美術は二村周作。

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