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スペードの女王

野村グループpresents マリインスキー・オペラ「スペードの女王」  2019年12月

3年ぶりのマリインスキー歌劇場、指揮はもちろん芸術総監督ワレリー・ゲルギエフだ。プーシキン原作の幻想的で屈折した悲劇を、美しいチャイコフスキー節(1890年初演)と確かな歌唱、スタイリッシュな演出で堂々と。東京文化会館大ホールの上手ウィングA席で3万6000円。休憩2回で4時間弱。

物語は18世紀末、エカテリーナ2世時代のサンクトペテルブルクを舞台に、士官ゲルマン(ウラディミール・ガルージン)の暗い情熱と破滅を描く。ゲルマンは可憐なリーザ(イリーナ・チュリロワ)が、かねて焦がれていた娘と知って、友人の婚約者なのに激しく言い寄っちゃう。一方で、カード賭博の必勝法「3枚の札」に取り憑かれ、その秘密を聞き出そうとリーザの祖母である伯爵夫人(アンナ・キクナーゼ)を脅し、なんと夫人はショック死! リーザはゲルマンの所業に絶望して運河に身を投げ、ゲルマンも賭けに負けて、夫人の亡霊とリーザに詫びながら息絶える。仮面舞踏会や幕間劇など、爛熟した宮廷文化と、人間の罪深さ、狂気が交錯して複雑だ。

歌手陣はチュリロワ(ソプラノ)が伸びやかで、第2場の女声デュエット「今はもう、夕べの刻」が美しく染みる。長椅子に横たわる姿も色っぽい。キクナーゼ(メゾ)はちょっと異様な存在感だ。老いてとぼとぼ歩きながら、華やかだった若い日々にとらわれていて哀切。期待したガルージン(テノール)は小柄だし、ベテランのせいか滑り出しは省力だったものの、徐々にエンジンをかけ、終幕「俺たちの人生とはなんだ?」などで熟達の表現を聴かせました。
初めて聴く演目で、カード賭博に馴染みがないせいもあり、ちょっと入り込みにくかったけど、アレクセイ・ステパニュク演出は重厚、かつ凝っていて目が離せない。冒頭と幕切れに、カードをもてあそぶ少年が登場して、運命を象徴。暗いステージに、荘厳な柱を自在に動かしてシーンを構築したり、白い彫刻たちが動き出しちゃう一方で、生きている人物が凍りついていたりして、現実感のなさが印象付けられる。
ロビーには財界人の姿も多く、オペラ公演らしかったです。

20191201-005

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