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治天ノ君

劇団チョコレートケーキ第31回公演「治天ノ君」  2019年10月

2013年初演、読売演劇大賞選考員特別賞を受賞した話題作の再々演。初見だったけど、この劇団は古川健脚本&日澤雄介演出のコンビで、現代史の様々な事件を描き、注目されているとのこと。評判通り、非常に生真面目な舞台、という印象でした。東京芸術劇場シアターイースト、下手寄りで4300円。休憩なしの2時間半。

斜めに伸びた赤絨毯に、玉座を据えたシンプルなセット。家族を大事にするなど、開明的な一方、病弱で、晩年は息子の昭和天皇に実権を奪われ、在位15年で失意のうちに世を去った天皇の一代記だ。「早すぎた」天皇の思い、そしてそれを葬ったのはいったい何だったのか? 平成から令和へ至るプロセスがリアルタイムなだけに、「国のかたち」の象徴に投げかける問いが重い。
終始静かな舞台のなかで、どんどん病んでいく大正天皇役の西尾友樹が熱演だ。前半はコミカルなほど闊達なだけに、後半ドタっと倒れたりする痛ましさがくっきり。貞明皇后・秋本紀保の、いささか大時代な表現もはまってた。
戯曲の最大の焦点は大詰め、大正天皇崩御の1年後に明治天皇誕生日を祭日「明治節」として復活させる経緯だろう。昭和天皇(浅井伸治)が列強に伍していくため、父である大正天皇をいわば無視して、「名君・明治帝ブーム」を演出した、という解釈。意をくんだ牧野伸顕内大臣(吉田テツタ)が暴走ぎみだったにせよ、そこには昭和天皇の確固たる意思があった、との立場だ。こうした経緯が、最近の「生前退位」につながっている、という見方もあるようだし、明治節がいまは文化の日、昭和天皇の誕生日は昭和の日となっているのもとても感慨深い。
もっとも「ブーム」は、それに熱狂する国民あってのものだったはず。あわよくば大衆の視点が欲しかったかな。

20191005-002

 

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