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組曲虐殺

組曲虐殺    2019年10月

2009年初演、2012年再演で数々の演劇賞を受けた井上ひさしの遺作を、栗山民也が演出。状況の残酷さは昨日の「死と乙女」に通じるけど、印象はいわば正反対。厳しければ厳しいほど、日常のふとした笑いを忘れず、終幕にはなけなしの希望を灯す。優しい音楽劇だ。天王洲銀河劇場の下手寄り、中ほどで9000円。休憩を挟んで3時間15分。こまつ座&ホリプロ公演。
29歳で拷問死したプロレタリア作家・小林多喜二の評伝。あいにく私の体調が今ひとつで、集中できなかったのが残念だけど、散りばめられたコミカルなシーンや、多喜二のモテぶりが、庶民の暮らしの手触りを感じさせて引き込まれる。何より全編の音楽と効果音を、ジャズピアニスト小曽根真が手掛け、しかも自身が舞台上方の後ろで生演奏。リズムと哀愁が魅力的だ。
多喜二はタフなアジテーターというより、ピュアで幼さを残す造形。パン屋で働きながら、貧しい者がパンを買えない現実に強烈な疑問を抱く。井上の線の細い感じ、透明感ある歌声が合っている。頼りになる姉・高畑淳子、同志で妻となる神野三鈴の安定はもちろん、生涯の恋人・上白石萌音も可憐でよかった。末端で多喜二に張り付くうち、影響を受けてしまう特高刑事に山本龍二、土屋佑壱。
井上ひさし没後10年の、こまつ座企画のラストだったそうです。
20191014-003

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