愛と哀しみのシャーロック・ホームズ
愛と哀しみのシャーロック・ホームズ 2019年9月
作・演出三谷幸喜の人気舞台。嫌味のないギャグにたっぷり笑ったあと、欠陥だらけの人間たちの愛おしさ、天才と凡人の友情にほろりとする。巧いなあ。お得意のあて書きなのか、役者も生き生き。未熟な推理オタクの柿澤勇人、人のいい保護者・佐藤二朗らはもちろん、広瀬アリスが堂々たるコメディエンヌぶりで光ってた。企画制作ホリプロ。老若男女が集まった感じの世田谷パブリックシアター、1F最後列、中央の補助席で9800円。休憩を挟み2時間15分。
時は1981年、ロンドン・ベイカー街221Bのワンセット(美術は松井るみ)。27才の若き名探偵シャーロック(柿澤)が「緋色の研究」で広く世に知られる直前の、知られざるエピソードゼロという設定だ。
医師ワトスンは小説に「博士号取得が1878年」とあるので、そう年上ではないはずだけど、冒頭「実は取得に20年かかった」と笑わせておいて、佐藤が登場。続いてしっかり者の女医ミセス・ワトスン(八木亜希子)、どこまでも気のいいレストレイド警部(迫田孝也)、世話焼きの下宿屋主人ハドスン夫人(はいだしょうこ)、謎の依頼人ヴァイオレット(広瀬)、そして政府要人で高圧的な兄マイクロフト(横田栄司)が加わり、ドタバタを繰り広げる。
変人でコミュニケーション下手のシャーロックが、ちょっとした情報からいちいち人物の背景を読んじゃうあたり、遠い昔に子供向けホームズシリーズを読んだ印象がよみがえる。三谷少年も夢中になったのかなあ。質問クイズやらスコーンやらカードゲーム「ランターン」(インディアンポーカー)やら、小道具を駆使した謎解き要素と、しつこいギャグのリフレインがお楽しみだ。
終盤には英題「The Spare」の元となる兄弟の確執、ワトソン夫妻の葛藤をすべて飲みこんで、めでたくシャーロック&ワトスンの名コンビが誕生する。なんだか羨ましい。
俳優陣の安定の演技を、下手に控える荻野清子の、チャーミングなピアノが彩る。ミュージカル俳優がいるのに、2幕冒頭、佐藤、八木のレビューがどうみても素人なのはご愛嬌。よくできていて、満足度の高いコメディでした!
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