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アイランド

イマシバシノアヤウサ「アイランド」  2019年8月

盛夏の午後、文学座トリオの演劇ユニットによる2人芝居に足を運んだ。人間の尊厳を厳しく突きつける設定で、わずか80席のOFFOFFシアターとあって身構えたけど、観終わってみると力強く、爽快感さえ漂う佳作。南アの国民的作家アソル・フガードが初演時の俳優ジョン・カニ、ウィンストン・ヌッショナと作り上げた原作を、鵜山仁が翻訳・演出。休憩なしの1時間半、上手寄り前のほうの席で3900円。
後方から防災用の銀シートを広げた上に、粗末な板を並べたステージ(美術は乗峯雅寛)。開幕前に俳優2人のナレーションがあり、軽く設定を説明してくれる。舞台はアパルトヘイト下の南ア、マンデラもいたというロベン島の収容所。差別に抵抗し身分証を焼き捨てたといった罪で、黒人たちが収容されている。冒頭、同房のジョン(浅野雅博)とウィンストン(石橋徹郎)が繰り返す砂堀りは、じわじわと人間性を破壊する不毛さ。2016年「BENT」が思い出されて息苦しい。
ジョンは所内の催しで、ギリシャ悲劇「アンチゴーネ」を上演しようとしているが、ヒロインのウィンストンはまるでやる気なし。そのうちジョンにあと3ヶ月で釈放、という朗報がもたらされる。しかし相棒のウィンストンは終身刑の身。深く絶望し、もう自分がなぜここにいるかもわからない。
残酷なんだけど、前半に2人が繰り広げるふざけ合いに救われる。酒場にいる旧友への電話を空想して盛り上がり、ありあわせの素材で付け胸を作り… どんなに抑圧されていても、諦めない精神だけがもちうる翼。
終盤の劇中、良心に従って兄を埋葬したアンチゴーネの叫びが、未来に託す思いを響かせる。そして2人手を取り合っての、野太い唸りと激しい足踏み。シートを吊り上げて2人を覆っていくラストに、余韻があった。
帰りに下北沢のイベントで、ビールのはしご!
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