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美しく青く

Bunkamura30周年記念 シアターコクーン・オンレパートリー2019「美しく青く」 2019年7月

不器用な庶民の愛おしさを描いたら、折り紙付きの赤堀雅秋作・演出。今回は高齢化と野生の猿に侵食されつつある、被災地での群像劇だ。冴えない日常を淡々とたどるようでいて、それぞれのチリチリする思いが迫る佳作。相変わらず巧いなあ。シアターコクーン中段で1万円。休憩なしの2時間強。
保(向井理)は自警団を指揮しての、猿退治にのめり込んでいるが、仲間の勝(大東駿介)らとはぎくしゃくし始めている。偏屈な老人・片岡(平田満)には協力を拒絶され、気のいい役場の箕輪(大倉孝二)に対策を求めるものの、埒が明かない。妻・直子(田中麗奈)は災害で娘を失った傷を抱え、また認知症の実母(銀粉蝶)の世話に疲れ果てている…
深刻な状況に、お馴染みのリアルなトイレネタ、スナックでのうだうだで、トホホな笑いを散りばめる。突破口など開けるわけもないのだけれど、それでも人々はここで暮らしていくのだ。そびえ立つ防潮堤に夫婦がたたずむラスト、後ろ姿に青空と海を感じて、ちょっと温かい気持ちになる。美術は土岐研一。
スナックの世話焼きママ・秋山菜津子が、抜群の安定感で舞台回しを務め、大東と大倉が切なさ、やるせなさを体現。向井はやや求心力が弱いけれど、そこは役の個性と合っていたかも。赤堀は訳あり風の無口なスナック店主で出演も。ほかに勝の妹・横山由依(元AKB総監督)、自警団の駒木根隆介、森優作、福田転球が丁寧な演技。
20190721-003

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