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獣の柱

イキウメ「獣の柱」  2019年6月

前川知大作・演出で、2013年に観た戯曲を大幅改定し再演。一段と俳優陣の演技力が上がった感じで、超常現象のイメージが濃密だ。「時間が飛ぶ」あたりの感覚がリアルで、引き込まれる。シアタートラムの下手寄りで5000円。休憩無しの2時間強なのに、若年層中心に立ち見が多く、人気を感じさせる。

四国で暮らす二階堂望(浜田信也)が、人を多幸感で包み、生きる力を奪ってしまう謎の隕石を拾う。渋谷のスクランブル交差点での事故に、同じ作用を読み取り、部長こと山田(安井順平)、妹・桜(村川絵梨)ととともに行動を起こすが、望は突如姿を消す。やがて街に隕石と同じ力をもつ巨大な柱が降り注ぎ始め、社会は一変していく。果たして人類は生き延びられるのか…

日常と非日常をつなぐ、地方在住天文ファンの望、山田の造形が魅力的だ。望の冷静な判断力やモラル、山田の現実主義。桜の元夫(盛隆二)やお馴染み研究者・時枝(森下創)を巻き込み、個人的体験が大風呂敷に至る展開に説得力がある。
柱はいったい誰が、何のために降らせているのか? 天罰とか、文明否定めくくだりもあるけど、むしろ気象現象という仮説が面白い。善悪を超えた、地球という生き物の単純な生理。そう考えれば時をへて、柱を克服した世代、山田の孫(大窪一衛)と恵(東野絢香)が出現するのも自然に思え、何か希望を感じる。

達者な劇団メンバーを向こうに回して、村川の透明感が突出。いい女優さんだなあ。柱側の存在らしい長身の薬丸翔(薬丸くんの長男)、のっけから挙動不審な東野も目をひいた。曲者コンビに市川しんぺー、松岡依都美(文学座)。シンプルな美術は土岐研一。意味をもたせ過ぎない音響も巧い。
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