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團菊祭「寿曽我対面」「勧進帳」「め組の喧嘩」

團菊祭五月大歌舞伎  2019年5月

令和がスタートした10連休、少し風が冷たい最終日に歌舞伎座へ。あえて話題の菊之助長男・丑之助くん初舞台ではなく、昼の部をチョイス。次を担う世代の勢いが感じられ、初夏らしい爽やかな気分になった。演目もわかりやすかったし。中央前の方のいい席で1万8000円。休憩2回を挟んで4時間半も長く感じない。

幕開け「寿曽我対面」はオーソドックスな館のセット、松緑の初役・工藤でちょっと物足りないかな、と思ったけど、なんのなんの、若手に発見が多かった。まず五郎の萬太郎が意外な奮闘。小柄なのがかえって未熟、やんちゃなキャラにぴったりだ。そして歌昇(又五郎の長男)の初役・朝比奈が、イケメンのイメージを覆してユーモラスでおおらかで、すっかり見直しました~ 十郎のお兄さん・梅枝が安定し、大磯の虎の尾上右近、化粧坂少将の米吉は文句なく美形でうっとり。家臣の鷹之資が急速に大人になっていて驚く。平成11年生まれだもんな… 松江さんが見守るなか、玉太郎も頑張ってた。ラストは坂東亀蔵が友切丸を持って駆けつけ、相変わらずよく通る声で舞台を引き締めてました。

そしてお馴染み「勧進帳」。花道に義経・菊之助と弁慶・海老蔵が並んだ瞬間の、ぶっちぎりの華に拍手! 團十郎襲名が決まった海老蔵が、圧倒的に視線を集める。周到な計略とやり遂げる覚悟、そして安堵に至る落差。お化粧も巧いし。はしばしに感謝の思いを感じるのは、見る側の思い込みもあるんだろうけど。対する菊之助は、気品と存在感があって、歌舞伎らしい。富樫は「2月追善の恩返し」で、立て続けに出演する松緑。こちらは独特の屈折が、役に合っていた。幕をひかれる瞬間の苦衷の表情が、強い印象を残す。「紀尾井町」の大向うも多かった。確実にこの3人が中核を担っていくのだなあ、としみじみ。ほかに右團次、九團次、きりっとした廣松(大谷友右衛門の次男)、市蔵。

最後はぐっと世話にくだけて「神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ)」、通称め組の喧嘩。御大・菊五郎の江戸弁の粋と、大詰めで勢揃いする鳶のいなせが痛快! 1805年に芝神明の境内で起きた乱闘を題材にした竹柴其水作で、1890年初演。講談で聴いて観たかった演目だ。
序幕・島崎楼広間の場は品川の遊郭。力士の四ツ車・左團次、贔屓の家橘、松江らと、火消しの藤松・菊之助、長次郎・坂東亀蔵らが揉める。火消しは血の気が多くて、あっという間に啖呵です。落語みたい。春相撲を開く芝神明は持ち場だからと、頭の辰五郎・菊五郎が詫びて、なんとかその場を収めるけど、実は力士より下に見られたことで悔しさ満載。続く八ツ山下の場で、四ツ車を待ち伏せちゃう。ちょい役の雀右衛門、炊き出しの喜三郎・歌六らとの世話だんまり。
二幕目・神明社内芝居前の場は「義経千本桜」で大賑わいという設定。酔客の始末をめぐってまたしても、鳶と又五郎の力士・九竜山が、七五調でにらみ合うものの、今度は楽善の座元がなだめる。
三幕目は浜松町辰五郎内の場。女房お仲・時蔵がなんと「力士に仕返ししないなら出ていく」と勝ち気っぷりを披露。独特の声で、ますますの貫禄だ。実は辰五郎は三行半だの水盃だの、とっくに覚悟を決めており、相撲が終わるのを待っていた。せがれ又八の亀三郎(彦三郎の長男)が、健気な演技で家族愛を表現。ついに打ち出しの太鼓が聞こえ、辰五郎は半纏に短刀で別れを告げる。
大詰は神明町鳶勢揃いの場で、松也、歌昇らイケメンの火事場装束、菊之助が勢いよく回す纏(まとい)、木遣の掛け声が文句なく格好いい。見事なチームワーク。権十郎の亀右衛門、菊五郎が駆けつけ、順に柄杓の水盃を足に吹き付ける。角力小屋の場でいよいよ大喧嘩が始まり、片岡亀蔵と左近(松緑の長男)の大らかな立回り。喧嘩の場では鳶が次々に屋根に駆け上がる「飛びつき」を披露し、みんな楽しそう! 神明社境内の場に至り、喜三郎がなんと高い梯子にぶら下がって、割って入る。町奉行、寺社奉行の法被を見せて水入りとなりました。面白かった!

ロビー、売店は思ったほど「令和」一色でない印象。宮崎駿さんの丑之助くん祝幕が飾られてました。

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