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文楽「妹背山婦女庭訓」

第二〇七回文楽公演 2019年5月

令和最初の文楽東京公演は、王代物で通し狂言「妹背山婦女庭訓」。2016年に大阪で通しを観たけど、今回はさらに、98年ぶりの復活となる「大序」も加わった。1部が休憩2回で4時間半、2部が同じく休憩2回で5時間半弱と、演者はもちろん観客も体力勝負の、まさに大曲です。今回は特に、山の段で豊かな音楽性を味わった印象。それぞれ7300円。
まず1部は中ほどの席で。大序・大内の段は呂勢太夫・藤蔵による復曲だ。蘇我蝦夷、大判事、定高、鎌足ら主要人物が紹介される。太夫・三味線が黒御簾でリレーし、人形は若手中心に黒衣で。
続く、実に凛々しい久我之助(初役で玉助)と、雛鳥(蓑紫郎)の馴れ初めは下世話で明るいけれど、後の悲劇を知る観客の目には運命的に映る。盲目の天智帝(勘彌)が漁師芝六(玉也)のあばら家に身を寄せるミスマッチの可笑しさを挟んで、二段目へ。前半の聴きどころ・芝六忠義の段は、咲太夫・燕三が哀愁を込めて。国家大事の鎌足(勘十郎)の深謀遠慮に、振り回されちゃう芝六親子が気の毒過ぎ。2部の導入となる三段目太宰館の段は、文司の入鹿。

日を改めて、2部を鑑賞。下手に特設された床のすぐ前という、貴重な席で、いきなり全段のクライマックス・妹山背山の段。太夫の世代交代が頼もしい。特に妹山は呂勢太夫、織太夫の競演で艶やか。三味線は清介、清治、雛流しの琴は清公。対する背山では豊竹藤太夫が、抑制が効いていい味わいだ。竹本文字久太夫からの突然の改名にはびっくりしたけど、何か肩の力が抜けて、いい感じではないでしょうか。リーダーの千歳太夫も好きなんだけど、ちょっと力みが目立ったかな。三味線は藤蔵、富助が重厚に。人形は久我之助の玉助が、よく我慢しました! 大判事・玉男、定高・和生、雛鳥は簑紫郎から後半は簑助と、まさに盤石。
四段目は可愛そうなお三輪をつかう、勘十郎のオンステージだ。娘らしい一途さと、爆発する感情の激しさに目を奪われる。橘姫は一輔、残酷な求馬・実は淡海は清十郎、豪傑の鱶七・実は金輪五郎は玉志。眼目の金殿の段は、幸い病気休演から復活した呂太夫・團七が渋く〆ました。
運命に翻弄される、ちっぽけな人間たち。ロビーには文楽ファンのエコノミストの姿も。いやー、お疲れでした!

20190518-002

 

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