BLUE/ORANGE
BLUE/ORANGE 2019年4月
イギリスのジョー・ペンホールの2000年初演作を再演。白い精神科病棟の一室ワンセットで、ひとりの患者をめぐる医師2人の対立から、支配と差別、正義の空回りを描く。小川絵梨子の新訳、演出千葉哲也という充実の顔合わせ。DDD青山クロスシアターで7800円。
街で暴れた黒人で労働者階級のクリストファー(章平)が収容最終日となったが、新米研修医ブルース(成河)はさらなる入院治療が必要と判断。クリストファーをないがしろにする上司ロバート(千葉)と激しく衝突する。
2010年の初演は亡き中嶋しゅうが企画してロバート、演出の千葉がブルースで出演し、クリスだった成河の演技が評判をとったという。今回も俳優3人は実に魅力的。小さい劇場、しかも細長い舞台を客席が挟む配置で、逃げ場がないなか(美術は中村公一)、存分に力技を発揮していた。
特に2幕。真っ直ぐで良心的な成河が、どんどん独善に傾き、一方の権威に安住していた千葉が苛立ちを募らせて、どこか情けなくなっていく。ロビーまで使って声だけ響かせる怒鳴り合い、終盤の暴れっぷりに緊張感がみなぎる。肝心の章平といえば終始飄々として、全く闘いがいが無いのが皮肉だ。野性味があって、なかなかいい俳優さんです。もっとも当方、体調がイマイチだったせいか、休憩を挟んで3時間弱はちょっと長かったかな… 
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