シネマ歌舞伎「桜の森の満開の下」
シネマ歌舞伎「野田版 桜の森の満開の下」 2019年4月
2018年11月に再々々演を観た野田秀樹の代表作を、自ら歌舞伎化。2017年夏に評判をとった舞台をスクリーンに移した。こうして観るとキッチュさや夜長姫の2面性など、非常に歌舞伎向きの演目で、面白い。荒唐無稽なストーリーも、現代版よりわかりやすいかも。新宿ピカデリーの最後列で2100円。約3時間。
とにかくステージいっぱいの桜と、鬼の面が歌舞伎そのもので違和感がない。セリフは戯曲の遊び心を生かしつつ、七五調にのせていた。夜長姫の七之助が、ピュアと残酷を自在に行き来し、女形の特質をおおいに発揮。耳男の勘九郎は振り回されキャラがぴったりで、健闘。ほかにオオアマの染五郎(現幸四郎)、早寝姫の梅枝が伸び伸び。マナッコの猿弥、エンマの彌十郎、ヒダの王の扇雀らが盤石だ。
どうしても見え隠れする勘三郎の存在、そしてアリア「私のお父さん」が染みます。
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