良い子はみんなご褒美がもらえる
良い子はみんなご褒美がもらえる 2019年4月
「ローゼンクランツ…」のトム・ストッパード作、というのにひかれて、異色作に足を運んだ。「俳優とオーケストラのための戯曲」と銘打っており、舞台後方でオケ35人が現代音楽を奏で、頻繁にダンスが挟まる。ロンドン交響楽団首席指揮者だったアンドレ・プレヴィンとの共作で、今回の演出はロイヤルオペラのウィル・タケット。群舞は面白かったけど難解だったかな… 休憩なしの1時間15分。ジャニーズファンが多そうなTBS赤坂ACTシアター、中段で1万円。
舞台は旧ソ連らしき独裁国家の精神科病棟。同姓同名の2人の男、アレクサンドル(堤真一)は抑圧を告発する思想犯で、若いイワノフ(ABCーZの橋本良亮)はオケを引き連れていると妄想している。2人とコンサートを控えたバイオリン奏者でもある医師(小手伸也)との、またアレクサンドルの息子サーシャ(ソウル出身のシム・ウンギョン)と教師(斉藤由貴)との、噛み合わない会話が続く。やがて大佐(文学座の外山誠二)は著名人アレクサンドルのハンストに手を焼き、2人を取り違えたふりをして釈放する。
1977年初演とはいえ古臭い感じはしない。照明を落とし、上下2段のパイプセット、手前の階段でアンサンブルが役者の動きを増幅する抽象的な舞台だ。上演の難易度も高そう。もっともSNS時代の同調圧力とかフェイクニュースとか、いろいろ連想するには拡散ぎみか… 五線譜の語呂合わせだというタイトルはじめ、哲学的ウィットが豊富だったんだろうけど。翻訳は常田景子。
ドラマ「コンフィデンスマンJP」の小手が、いい声で、可笑しみがあってよかった。音楽監督・指揮はフランス出身で京都を拠点に活動する音楽監督・指揮のヤニック・パジェ。ちなみに作曲のプレヴィンは1929年ベルリン生まれのユダヤ人で、「マイ・フェア・レディ」の編曲・指揮を担当するなど幅広く活躍、今年2月に死去したそうです。
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