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談春「双蝶々」「大工調べ」

立川談春独演会2019  2019年3月
名人・談春さんの「双蝶々」を堪能する。子供の悪人という暗い設定ながら、まさに人間の業が横溢する濃密なステージだ。ファン集結の紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA、上手後ろの方で4320円。休憩を挟みたっぷり2時間半。
前座ナシで師匠が登場。「殿村だと思われてる」「この噺を選んだのは気の迷い」とつぶやきつつ、マクラもそこそこにネタ出しの「双蝶々」を通しで。浄瑠璃とは人物名が重なるだけで、内容は別物だ。
棒手振り長兵衛の息子・長吉は幼いのに悪賢く、賽銭は盗むわ、酷い嘘で後妻のお光をはめるわ。今のうちに、と出された奉公先の黒米問屋でも、表向き上手く立ち回り、裏では盗みを働く。これに気づいた番頭のワルぶりが、実に陰惨で効果的だ。花魁を身請けしたさに「店のカネ百両を盗んでこい」と、長吉を脅し、立ち聞きした小僧も長吉に掛守をせびる始末。そこで長吉が一瞬のためらいもなく、いきなり小僧を締め上げちゃってびっくり。キュッという手拭いの音に、思わず鳥肌、しかも念を入れて2度まで… 500人からの聴衆が、かつてないほど静まり返る。
番頭も手にかけた長吉が、その夜のうちに奥州へ蓄電して三年後、後半は人情へとなだれ込む。息子の悪事のせいで落ちぶれ、寝たきりとなった父。袖乞いまでして献身的に世話する女房が、舞い戻った長吉と出くわし、長屋へ引っ張っていく。奥州でいっぱしの親分となった長吉が五十両を差し出し、涙する父子。教訓も救いもない。ただただ、人が負う罪深さと哀しさが際立つ。長屋を出、吾妻橋にかかったところで照明が落ち、芝居噺仕立てに。ちらちら舞う雪と三味の音のなか、あえなく長吉は御用に。黙阿弥なみのドラマ…  三遊亭円朝作だけど元ネタがあったとも。
「居残り」レベルに完成度の高い高座の後、休憩を挟んで一転、肩の力が抜けた感じでリクエストタイム。「お若伊之助」「黄金餅」「大工調べ」の三席から客席の拍手が一番多かった演目をやると宣言し、「黄金餅」はここが聴きたいんでしょ、と火葬場への道順の言いたてをサービス。そして定番の「大工調べ」の「上」へ。談春さんで聴くのは3回目かな。やっぱり与太郎がチャーミングで絶品だ。棟梁と大家の意地の張り合いに巻き込まれつつ、2人を愛おしくみているおおらかさ。
スカッと笑わせ、「鼻っ柱」に関する独特のコメントがあって、手締めとなりました。あー、面白かった。
20190321-016

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