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積恋雪関扉

平成31年3月歌舞伎公演 2019年3月
桜がふくらんできた国立劇場、小劇場の歌舞伎公演へ。前半「元禄忠臣蔵」後の休憩で到着し、お目当ての後半「積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)」のみ鑑賞。約90分と、時代物舞踊の大曲だけど、洒脱でコミカル、かつ歌舞伎らしい不思議演出が満載で、変化に富む。次代を担う初役3人、特に菊之助が意外に野太い荒事立役で、愛嬌もあって頼もしい! 花道外、割と前の方で9800円。
浅葱幕が落ちると、雪景色の逢坂山に、季節外れの「小町桜」が咲き乱れていて、のっけから超ファンタジー。下手に浄瑠璃・兼太夫、三味線・文字兵衛ら常磐津連中が陣取る。
物語は平安初期の六歌仙にちなみつつ、江戸の風情を古風に見せていて楽しい。上の巻ではまず、居眠りから目覚めた関守・関兵衛(菊之助)が、木こりの扮装で貫禄をみせる。三味線で表現する琴の音にのり、花道からありえない赤姫姿、可憐な小野小町(期待の梅枝)が登場し、通す通さないの呑気な問答、さらに「生野暮薄鈍(きゃぼうすどん)=野暮」の当て振りをゆったりと。江戸の宴会のヒット曲なんですねえ。初代中村仲蔵の型をかなり残しているそうです。
小町と、侘び住まいしている宗貞(後の僧正遍昭、萬太郎は30にしては幼い印象)が再会し、二人の仲を冷やかす関兵衛をまじえて、おおらかに「そっこでせい」の手踊り(長唄風の踊り地)となる。3人ずれつつポイントでは合うのが醍醐味とか。関兵衛、お茶目です。
しかし一人になった宗貞に鷹が運んできた片袖は、なんと兄の身替りとなった弟・安貞の遺品で、さらに歌舞伎らしい小道具の謎解きが重なって、関兵衛の正体が天下を狙う大伴黒主と判明。知らせに小町が都へ急ぐところから下の巻へ。
宗貞は袖を琴に隠し、弟を弔う。関兵衛はそんな宗貞を追い払い、ひとり酒盛り。セリフを常磐津が語り(付けぜりふと仕形舞)、作り物の星が降りてきて大盃に映る星占いから、国崩しの素顔を現す。いよいよ謀反の好機と、大マサカリを振り回すと、後方の桜のウロに、傾城墨染実は小町桜の精の姿が怪しく浮かび上がる。2役の梅枝はもちろん、映像で観た歌右衛門とは別物で、色気は今ひとつながら、前半とは一転、この世のものではないスリスリ歩きで健闘。これが古怪というものか。
すががきの音で、花魁道中など郭の風俗をひとしきり華やかに踊った後、ついに墨染が夫・安貞の仇である黒主に詰め寄り、2人して怒涛のぶっ返り! 空気ががらりと変わって、大詰は激しい立ち回り(所作だて)だ。黒装束の黒主が真っ赤な舌を見せて大マサカリを振りかざせば、乱れ髪に鴇色の小袖に転じた桜の精は見事にエビ反り。盛んに掛け声がかかり、2段にきまって幕となりました。充実!
ロビーには加山又造「おぼろ」の陶板(大塚オーミ陶業製)が飾られてました。

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