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糸井版 摂州合邦辻

木ノ下歌舞伎「糸井版 摂州合邦辻」  2019年3月
昨年の「勧進帳」が良かった木ノ下歌舞伎。2回めの鑑賞は、文楽で2回観ている「摂州合邦辻」をしみじみと。
監修・補綴・上演台本の木ノ下裕一、1977年生まれの糸井幸之介が上演台本・演出・音楽でタッグを組んだ音楽劇で、セリフは義太夫調、衣装と歌は現代風。時に無理な展開ながら、印象は意外にストレートです。2011年のニナガワ「身毒丸」も観てるんだけど、今作はトンデモ継母と美少年のドロドロではなく、自己犠牲に至る「母の思い」がピュアに響いて心地よい。
演劇好き男女が集まった感じの、KAAT神奈川芸術劇場大スタジオ、整理番号形式の自由席で中段に陣取って4000円。休憩なしの2時間半がダレません。
冒頭は現代の都会で交錯する、冴えない男女の日常を歌とダンスで。クライマックスの合邦庵室のフラッシュバックから、時代物に転じていく。「業病」に侵された俊徳丸(田川隼嗣)の嘆き節はやや長く感じるものの、中盤、四天王寺前のシーンあたりからスピード感が高まって目が離せない。
特に玉手御前(内田慈)と父・合邦道心(武谷公雄)の激しい葛藤の間に、貧しくもほのぼのした父娘の思い出、パパの歌が挟まるのが効果的だ。二十歳やそこらの玉手の内なる母性を育てたのは、こんな愛情だったのか。
文楽では「いろは送り」と並んで、悲しいのに音楽的な「百万遍の念仏」シーンでは、木目調の玉を転がし、数珠に見立てるのが面白い。玉は天体に転じ、月江寺へとつながっていく。大詰め、娘をみとった女房おとく(西田夏奈子)の慟哭には、意表を突かれた。別れの歌「街の墓」が胸に染みます。
内田が得体の知れない情熱で、タフに舞台を牽引する。2017年「散歩する侵略者」の妻も切なかったけど、ちょっと見違えたな。武谷、西田が達者で、義太夫らしさもあり、説得力抜群。奴入平の金子岳憲も、溌剌としていいバランスだった。オーディションの元ジュノンボーイ、田川は努力賞かな。
終わって、横浜の夜景が素敵でした。
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