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タンホイザー

タンホイザー      2019年2月

ワーグナーの中期作は、序曲「巡礼の合唱」のテーマからいきなりドラマチック。少しくらい眠くたって、音に浸れば幸せになれるのが、この巨匠の凄いところ。歌手、合唱が高水準で、2013年にも観たハンス・ペーター=レーマンの演出も端正。イスラエル出身のベテラン、アッシャー・フィッシュの指揮はちょっとまったりした印象で、ピットいっぱいの東京交響楽団も出だしの管あたりが不安定な気がしたけど、徐々に調子を上げていた。要所要所のクラリネットが印象的。新国立劇場オペラハウス、オケがみえる2階中央の最前列で2万4300円。休憩2回で4時間強。

なんといってもエリーザベトのリエネ・キンチャ(ラトヴィア生まれのソプラノ)が、3幕「祈り」など柔らかい声と気品ある佇まいで舞台を牽引。対するタイトロールのトルステン・ケール(ドイツのヘルデンテノール)は太っちょだけど、大詰めの「ローマ語り」で圧巻の迫力を披露。
対照的に長身細身の親友ヴォルフラム、ローマン・トレーケル(ドイツのバリトン)は抑制がきき、「夕星の歌」の哀愁が際立つ。色気過剰なヴェーヌスのアレクサンドラ・ペーターザマー(ドイツのメゾ)、領主ヘルマンの人気者・妻屋秀和(バス)が安定し、ほかに小柄な牧童の吉原圭子(2017年のジークフリートで小鳥役だったソプラノ)、騎士ピーテロルフの萩原潤(2016年のローエングリンで伝令だったバリトン)が声がよく通って目立ってた。

物語は中世チューリンゲンを舞台に、騎士タンホイザーの彷徨と救済を描く。酔わせる序曲とともに、せり上がる巨大アクリル柱と照明に引き込まれる。続く1幕「バッカナール」のバレエは、背景に投影される映像も印象的。禁断の地ヴェーヌスベルクに「居続け」していたタンホイザーがマリアと叫んだ途端、照明が爽やかなヴァルトブルクに転じ、親友ヴォルフラムのとりなしで宮廷に復帰がかなう。
2幕で両思いの姫エリーザベトと再会するものの、壮大な「入場の合唱」、そしてハープが活躍する歌合戦で、ヴェーヌスを讃えちゃって非難轟々。エリーザベトが命を救うが、ローマへと贖罪の旅に出る羽目に。
3幕は「恩寵の動機」(ドレスデン・アーメン)が厳粛さを盛り上げる。結局、タンホイザーは教皇の許しを得られず、絶望して戻るが、一転、エリーザベトの自己犠牲で救済へと至る。「罪と罰」と違って命は果てちゃうけど。巡礼たちの合唱と、奇跡の杖に集まっていく動きが美しく、宗教を理解してなくても、問答無用で感動が押し寄せる。まさに音楽の力を堪能しました~

ホワイエにはインスタ用のパネルが登場。工夫しているなあ。来シーズンのラインナップが発表になって、バロックとか楽しみです。加藤浩子さんの姿をお見かけしました。

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