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スカイライト

スカイライト  2018年12月

演劇では2018年ラストの演目。またいい舞台に出合えました。英国の巨匠デイヴィッド・ヘアの1995年初演作を、今年は「FUN HOME」が良かった小川絵梨子が演出。都会に暮らす孤独な男女が、ひかれ合いながらも価値観の相違を認識し、別々の道を選ぶ。天窓から見る空は美しいけれど、手応えのある現実ではない。洒落た笑いのなかに、人生の苦さをしみじみ描いて秀逸だった。浦辺千鶴訳。新国立劇場小劇場の濃密な空間で5832円。休憩を破産で2時間半強。
ロンドンの片隅。キラ(蒼井優)が暮らす質素なアパートの一室というワンセットだ(美術は二村周作)。ある夕刻、別れた恋人の息子エドワード(葉山奨之)が突然、訪ねてきて、父親トム(文楽座の浅野雅博)を助けてほしい、と言い残す。数時間後にそのトムが現れて…
戯曲の大半を占める蒼井と浅野2人の、テンポの良い会話が出色だ。蒼井は巧いだけに古典で観ることが多かったけど、今回は等身大で、とても自然。頭がよく、かつてトムのレストラン経営に参画し、妻とも家族付き合いをしながら、トムとの不倫関係に悩んでいた。今は治安の悪い地区の学校で教師をしており、ヘビーな経験も多いけれど、生きがいを見出しつつある。パスタを作りながら延々続くセリフも危なげなくてさすが。
対する浅野は脇のイメージだったけど、なかなかの色気。経営者として成功し、アイデア豊富で上昇志向で魅力的なんだけど、最期まで妻とは心が通わず、エドワードとも衝突。ウィンブルドンに建てた豪邸の空疎さに説得力がある。エドワードのたどたどいい口調と繊細な存在感がまた効果的。彼が持ってくるリッツの朝食は、本当に美味しそうで清々しい。ささやかだけど、手に触れることができる現実が、どれだけ幸福に満ちていることか。
小川は9月に新国立劇場の芸術監督に就任して、今回が初演出。客席は横長のステージを挟む形。鷲尾真知子さん、林家正蔵さんらしき姿も。

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