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2018年喝采づくし

2018年のエンタメをまとめておきます。今年も忙しかったな~
まずは高麗屋3代襲名イヤーだった歌舞伎から。思いがけず11月南座新開場の顔見世への遠征が実現し、まさかの最前列で心のこもった幸四郎&染五郎の「連獅子」に感動した。折しも紅葉狩の賑わいも最高潮で、華やか尽くしで大満足。
南座以外でも、歌舞伎はベテランの名優2人が精力的で、至芸を堪能した。4月「立場の太平次」での一世一代と銘打った仁左衛門の悪の華ぶり、また9月「河内山」での吉右衛門の緩急自在の黙阿弥節は圧巻。玉三郎による「阿古屋」伝承や、福助の5年ぶり復帰という話題もありましたね。
若手ではコクーン歌舞伎「切られの与三」で、立役に挑戦した七之助の繊細な個性が光った。木ノ下裕一の補綴起用も正解。同じく女方で、壱太郎の成長が楽しみ!
古典つながりで文楽は、住太夫、寛治と大師匠の悲報が続き、寂しい一方、五代目玉助襲名が盛り上がった。披露狂言の「本朝廿四孝」横蔵、そして暮れの「鎌倉三代記」三浦之助と、着実にスケールアップしている感じで嬉しい。床は三味線陣が踏ん張り、試練の太夫陣も文字久、千歳が頼もしくなってきた。

洋に目を転じてクラシックは、METライブビューイング「トスカ」にシビれた若きテノール、グリゴーロの来日コンサートに参戦。イタリア男らしいサービス精神、問答無用のナルシストぶりで、文句なく楽しかった。2019年予定の「トスカ」コンビ、ヨンチェヴァとの生オペラに期待が高まります。来てくれ~
新国立劇場のオペラは、バイロイト音楽祭総監督のカタリーナ・ワーグナーが演出した「フィデリオ」が、高水準ながら、皮肉などんでん返しで衝撃だった。
振り返ると計4作と、思いのほかミュージカルを観た年でもありました。なかでも小川絵梨子演出の「ファン・ホーム」が、自分を肯定できないことの哀しさと家族愛を描いていて、 胸に染みた。吉原光夫ら日本人キャストも充実してた。

演劇は例年たくさん観すぎて絞れないんだけど、分断・対立の時代にあってメッセージが鮮烈だったのは、まず庶民の戦争責任を問うた「夢の裂け目」(栗山民也演出、段田安則)。まさか今さら井上ひさしにやられるとは。権威を疑う水木しげるへのオマージュ「ゲゲゲの先生へ」(前川知大作・演出、佐々木蔵之介)、社会の歪みを突きつけるセンスが光った「BOAT」(藤田貴大作・演出)、マクドナーのブラックな笑い「ハングマン」(長塚圭史演出、田中哲司)もパワーがあった。
一方で、足元の幸せをじっくり見つめる秀作も、心に残ったなあ。英国の巨匠ヘアの「スカイライト」(小川絵梨子演出、蒼井優)、アーサー・ミラーの名作「セールスマンの死」(長塚圭史演出、風間杜夫)が秀逸でしたね。特にミラー。まさかこんな地味なお話にやられるとは…
ほかに再演「市ケ尾の坂」(岩松了作・演出)で、普遍的な兄弟愛にしみじみ。特筆すべきは、初体験した木ノ下歌舞伎「勧進帳」。幕切れの開放感が新鮮だった。おかげでまた、ウォッチするクリエイターが増えちゃいましたよ。やれやれ。
女優では年末ギリギリ、「スカイライト」でイメージががらっと変わった蒼井優が筆頭かな。複数の舞台を観た中嶋朋子も、説得力で突出してた。男優陣では、やはり複数の舞台で曲者ぶりを発揮した田中哲司、脇ながら「岸リトラル」から「メタルマクベス」まで、飛び道具なのに雰囲気もある岡本健一。若手では、大東駿介や坂口涼太郎も目立ってたかな。

最後に忘れちゃならない落語。ずいぶん足を運んだけど、喬太郎「任侠流山動物園」が、無茶な設定に講談の技巧が合わさって、意表を突く異次元の可笑しさだった。ほかに爆笑の権太楼「火焔太鼓」、さん喬「百川」、知的な花緑「あたま山」、季節感あふれる市馬「佃祭」、泣かせる文蔵「子別れ」など、いずれも名人芸を堪能。年末は、ぐっと貫禄が出てきた感じの三三「文七元結」で、贅沢に〆ました~

さて、2019年。今のところ大きなイベントは発表されてないみたいだし、エンタメの本数をもう少し絞りたい!  けど、無理かなあ。

サムシング・ロッテン!

サムシング・ロッテン!     2018年12月

2018年のエンタメはミュージカルで締め括り。お馴染みヒット作の名曲を散りばめた、2015年ブロードウェイ初演のコメディーを、日本人キャストで。福田雄一の演出・上演台本は帝劇ミュージカル、宝塚、「消臭力」まで詰め込んでドタバタに徹し、楽しかった。
女性ファンが圧倒的な東京国際フォーラム・ホールC、2階上手バルコニーの、舞台に近い席で1万2500円。休憩を挟みたっぷり3時間。
 
舞台は16世紀末のロンドン。売れない劇団主宰ニック(中川晃教)に頼まれて、予言者(橋本さとし)がヒットメーカー・シェイクスピア(西川貴教)の来たる最高傑作は「オムレット」、また当てるにはまだ見ぬミュージカルを、と教えたことから、なんと卵料理がテーマの珍妙な作品作りが始まる。
ラストは一同が新大陸に追放になり、ユダヤ人のバックアップでミュージカルを作っていく、という見事なオチ。というわけでシェイクスピア劇のパロディよりも、日本版は橋本が予知する現代の「ミュージカルあるある」やら自虐ネタ、そしてこれでもかと繰り出す名シーンの数々で引っ張る仕掛けだ。客席の反応も上々、「物販」のペンライトも使用。盛り上がるけど、ちょっと浅いかな~
 
やり過ぎ感のある演出に対し、「ジャージー・ボーイズ」が達者だった中川が、哀愁もあるコメディ役者ぶりで舞台を牽引。橋本は「メタルマクベス」のハプニングトークで、またニックの妻役で「ファン・ホーム」が良かった瀬奈じゅんは、「ベルばら」ネタや、まさかのドリフ的扮装で、あっけらかんと笑いに徹してた。ニックのピュアな弟、平方元基は長身で爽やか。
書き割り風のセットの後方に、バンドが控えるスタイル。原作はウェイン、ケイリーのカークパトリック兄弟。こういう洒落のめしとオマージュが成立するには、ミュージックシアター・インターナショナルという版権管理会社の存在が大きいのかな。

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三三「明烏」「文七元結」

神田明神文化交流館こけら落とし公演 柳家三三独演会  2018年12月
イベントやショップで文化を発信する新設の神田明神ホールで、歳末に落語を聴く。なんだか貫禄が出て、いい感じの三三が、江戸情緒の廓噺と大ネタの人情噺をたっぷり2時間。1ドリンク付きで3800円。パイプ椅子を並べた最後列だけど、高座を高くセットしていて見やすかった。
前座ナシで飄々と登場。この会場は首相官邸みたい、落語ではこけら落とし、昨日はプロレスだったらしい、左膝が痛くなり近所の医院に行ったけど正座するなと言われて…などと笑わせて、「明烏」。談春で聴いたことがある吉原入門。堅物の若旦那を連れ出す、遊び人2人がちょっとけだるく、頓珍漢なやり取りで笑わせる。脱力感が程よい色気だ。
中入り後、マクラはそこそこで贅沢に「文七元結」。さん喬、談春のような泣きは控えめ、それより江戸っ子気質に味がある感じだ。借金で追い詰められてるくせして、身なりにこだわったり、職人の腕一本が何よりの信用だったり、一度出したカネは受け取れないと格好をつけたり。呆れちゃうけど憎めない。
最後は幕がないので引っ込みにくく、皆さんご寄進を、とジョーク。充実してました。

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歌舞伎「阿古屋」「あんまと泥棒」「二人藤娘」

歌舞伎座百三十周年 十二月大歌舞伎 夜の部 2018年12月

クリスマスは歌舞伎見物。玉三郎が昭和の歌右衛門から受け継ぎ、平成では一手に上演してきた阿古屋を、いよいよ後輩の梅枝、児太郎に手渡す話題の公演だ。今回は極付Aプロ玉さまバージョンを選択。前のほう中央のいい席で1万8000円。休憩2回で3時間半。
眼目の「壇浦兜軍記 阿古屋」は2015年にも観たけれど、今回の三曲のほうがしっとりと、そして気持ちが伝わってきた気がする。さらに進化しているということか。いっそ殺せと三段の上できまるシーンの大きさ、艶やかな孔雀の俎板帯も圧巻。捌き役・重忠の坂東彦三郎がキビキビしたセリフ回しでまたいい。菊五郎、羽左衛門につながる家だものなあ。人形ぶりの敵役・岩永はギョロ目がうってつけの松緑。
ちなみにBプロは梅枝、児太郎が交互に阿古屋を演じ、玉さまがなんと岩永に回るのも話題で、人形ぶりを玉男に習いに行ったとか。さすが驚かせます。
休憩後は一転、徹底して貧乏くさい「あんまと泥棒」。すごい落差だなあ。ラジオドラマを17世勘三郎の希望で、1966年に舞台化したそうで、ずる賢いあんまがこそ泥の鼻をあかす話。歌舞伎らしくないけれど、癖の強い中車がはまり役だ。中村嘉葎雄の演技がベースだそうです。
あんまの秀(中車)の貧乏長屋に泥棒権太郎(松緑)が押し入り、期限一昼夜の高利貸し・烏金(からすがね)の稼ぎを出せと凄む。焼酎を飲み始めると「らくだ」よろしく、酔うほどに立場が逆転し、秀はいかに座頭が図太いかと説教。権太郎は切々と身の上を語り、ついには秀の出まかせに同情して2朱を恵んじゃう。大活躍の松緑も人の良さがいい感じ。
追い出しは長唄舞踊「二人藤娘」。藤十郎、玉三郎で観た舞踊の2人バージョンで、2014年初演だそうです。舞台いっぱいの松と藤の花がまず艶やか。Bプロで阿古屋に挑戦している梅枝と児太郎の藤の精が、同時に舞台と花道に登場して目を奪う。衣装の色のコントラストも美しい。藤音頭、ほろ酔いから軽妙な手踊りへ。2人とも若く華やかだけど、姿の良さは梅枝が一枚上かな。
今年の歌舞伎も話題満載でした~ 客席には政治家一家の姿も。

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スカイライト

スカイライト  2018年12月

演劇では2018年ラストの演目。またいい舞台に出合えました。英国の巨匠デイヴィッド・ヘアの1995年初演作を、今年は「FUN HOME」が良かった小川絵梨子が演出。都会に暮らす孤独な男女が、ひかれ合いながらも価値観の相違を認識し、別々の道を選ぶ。天窓から見る空は美しいけれど、手応えのある現実ではない。洒落た笑いのなかに、人生の苦さをしみじみ描いて秀逸だった。浦辺千鶴訳。新国立劇場小劇場の濃密な空間で5832円。休憩を破産で2時間半強。
ロンドンの片隅。キラ(蒼井優)が暮らす質素なアパートの一室というワンセットだ(美術は二村周作)。ある夕刻、別れた恋人の息子エドワード(葉山奨之)が突然、訪ねてきて、父親トム(文楽座の浅野雅博)を助けてほしい、と言い残す。数時間後にそのトムが現れて…
戯曲の大半を占める蒼井と浅野2人の、テンポの良い会話が出色だ。蒼井は巧いだけに古典で観ることが多かったけど、今回は等身大で、とても自然。頭がよく、かつてトムのレストラン経営に参画し、妻とも家族付き合いをしながら、トムとの不倫関係に悩んでいた。今は治安の悪い地区の学校で教師をしており、ヘビーな経験も多いけれど、生きがいを見出しつつある。パスタを作りながら延々続くセリフも危なげなくてさすが。
対する浅野は脇のイメージだったけど、なかなかの色気。経営者として成功し、アイデア豊富で上昇志向で魅力的なんだけど、最期まで妻とは心が通わず、エドワードとも衝突。ウィンブルドンに建てた豪邸の空疎さに説得力がある。エドワードのたどたどいい口調と繊細な存在感がまた効果的。彼が持ってくるリッツの朝食は、本当に美味しそうで清々しい。ささやかだけど、手に触れることができる現実が、どれだけ幸福に満ちていることか。
小川は9月に新国立劇場の芸術監督に就任して、今回が初演出。客席は横長のステージを挟む形。鷲尾真知子さん、林家正蔵さんらしき姿も。

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民衆の敵

Bunkamura30周年記念シアターコクーン・オンレパートリー2018「民衆の敵」  2018年12月

春の「ヘッダ・ガブラー」が印象的だったイプセンの、1882年初演作を、RSC出身のジョナサン・マンピィが演出。経済的利益のために真実を抹殺する大衆と、迎合する政治家やメディアの罪、同時に正義を叫ぶ者の幼稚さ、独善を描いて、シニカルかつ複雑だ。23人の民衆のダンスが、実にイメージ豊か(振付は黒田育世)。広田敦郎訳。シアターコクーンの前の方で1万500円。休憩なしの2時間強。
民主主義の暴走を辛辣に描く社会派ドラマは、130年を経ても極めて現代的。世論操作やインサイダー取引まで登場しちゃう。数々のタブーを扱った「幽霊」に対する、「多数派」の非難に怒って書かれたという。
舞台は温泉発見にわくノルウェーの港町。医師ストックマン(堤真一)は義父(文学座の外山誠二)の工場の廃液などによる水質汚染を告発するが、兄の市長(段田安則)はこれを隠蔽。ストックマンを応援していた新聞編集長(谷原章介)と記者(赤楚衛二)、印刷所経営者(大鷹明良)も、水質改善に税負担がかかると知って態度を翻しちゃう。妻(安蘭けい)、長女(「不道徳教室」の大西礼芳)、友人の船長(木場勝巳)は味方するものの、集会で市民から激しい吊し上げにあい…。
市長や記者のご都合主義には、どこかユーモアが漂う。対するストックマンもピュアゆえに、理解しない周囲を見下してしまって、どんどん息苦しくなるけれど、その不用意さが人間臭くて普遍性をはらむ。医師を支える安蘭と大西が凛として爽やか。遺産で取引をもちかける義父は、善悪で割り切れない複雑な人物で、外山の演技が味わい深い。木場もスケール感を醸して、空気を引き締める。
達者な俳優陣と並んで、町民の群舞が印象的だ。分析に熱中するストックマンを不気味に覗き込んだり、並んで新聞を手にしたり、シーンを象徴する。1960年の設定という装置も凝っていて、舞台を取り巻くパイプ=水と、舞台奥や手前に転がる石ころ=正義を圧する礫のイメージが効いていた。美術はポール・ウィルス。もっとも見どころが多過ぎて、ちょっと拡散気味だったかな。

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女中たち

風姿花伝プロデュースvol.5「女中たち」  2018年12月

 

 

 

 

昨年末に続いて、演劇好きが集まるシアター風姿花伝。コクトーやサルトルに愛された曲者ジャン・ジュネの1947年の戯曲(篠沢秀夫訳)を、今年は「ヘンリー五世」が良かった鵜山仁が演出。独特の美意識もあって、休憩なしの2時間弱は正直、長かった~

 

メイドの姉妹は自分たちの境遇を呪いながら、もたれ合い、妄想に生き、一向に現実=館の外へ踏み出そうとしない。延々と続く堂々巡りが、精神の抑圧を突きつける。中央上手側で5500円。

 

 

 

とにかくソランジュ(那須佐代子)とクレール(中嶋朋子)の女優対決だ。ダサいお仕着せから、無断で奥様のヒラヒラドレスに着替え、宝石を身につければ別人になれる。密やかな「ごっこ遊び」にふけるさまは、幼く可愛らしい。
しかし中身が成長するわけもなく、どうやらその行動は終始愚かだ。メイドの暮らしに不満でご主人様を密告したものの釈放され、なぜか帰ってきた奥様を毒殺しようとして逃げられてしまい、追い詰められていく。

 

それもまた2人の妄想なのかもしれない。狭い舞台の中央にすえた等身大の金属の輪が、鏡のようであり、虚実を反転させる魔法のようでもあり。美術はやはり「ヘンリー五世」を手がけた島次郎。

 

奥様はルーマニア生まれのコトウロレナ。モデル体型の美人で堂々としてるけど、高圧的というより女中たちとおっつかっつの幼さ。姉妹の名前を一向に覚えないのは、自覚なき残酷さを感じさせる。

 

 

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文楽「鎌倉三代記」「伊達娘恋緋鹿子」

第二〇五回文楽公演  2018年12月

華やかな襲名が続いた一方、大師匠の訃報も重なった2018年の文楽。鑑賞納めは恒例、中堅が主体の年末公演で、和生を後見役としつつ継承の未来を思う。前の方、中央のいい席で6000円。休憩1回で3時間半。
前半は三度目の大曲「鎌倉三代記」。導入の局使者の段と米洗いの段は、質素で下世話な絹川村で、祇園守の下がった傘で帰ってくるキラキラ時姫(勘彌が安定)と、迎えに来た大仰な奥女中たちの場違い感を楽しむ。希太夫、靖太夫とも明朗で聴きやすい。切場となって、三浦之助母別れの段で颯爽と三浦之助(玉助)登場。一段とスケールが大きいなあ。文字久太夫、藤蔵に情感がこもって、いい。高綱物語の段は織太夫、清介。母(和生)の犠牲など聞かせどころが多く、力いっぱいだけど、やや浅いか。抜け穴の井戸から現れた藤三郎、実は高綱(玉志)が謀を明かし、さらに物見と奮闘でした。
休憩後は「伊達娘恋緋鹿子」から珍しい八百屋内の段、そしてお馴染み火の見櫓の段。8年ぶり2度目の鑑賞だ。縁の下にもぐったりする吉三郎は玉勢。一途で大胆、櫓の見せ場があるお七は、一輔が躍動。親友・お杉の簑紫郎がまさに頼りになる感じ。
終演後は玉助さん忘年会で、三浦之助を間近に。格好いいです!

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ロミオとジュリエット

M&Oplaysプロデュース「ロミオとジュリエット」  2018年12月

「メタルマクベス」に続き宮藤官九郎演出シェイクスピアで、今回はなぜかロミジュリ。なんとロミオは三宅弘城・50歳だ。四頭身で、引きこもり気味なんだけど、仲間に好かれている、という造形が面白い。テキストはきちんと松岡和子訳。本多劇場の下手寄り、やや後方で7500円。休憩なしの2時間強。
キッチュな紙芝居風のセットを回しつつ、トントンと進行。これまで観た蜷川版、藤田貴大版の若さの暴走とはうって変わって、大衆演劇めきつつ、カットされがちな終盤、結婚式シーンの楽士を生かすなど、周縁の喜劇が人生の表裏を感じさせる。
期待?にこたえ、三宅が裸シーンやら側転やら、高い運動能力でコメディタッチを牽引。マキューシオの勝地涼も、しつこいダンスで存在感を発揮する。この人はいずれ、勝村政信みたいな巧いバイプレーヤーになるかもなあ。ティボルトの皆川猿時、大公・ピーターの今野浩喜、乳母の安藤玉恵ら、みな達者で、ベンヴォーリオの小柳友が長身で格好いい。初舞台のジュリエット、森川葵はプログラムの「シェイクスピアって人じゃなくジャンルだと思ってた」発言が衝撃的… ロレンス神父は田口モトロヲ。

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グリゴーロコンサート

ヴィットリオ・グリゴーロ テノールコンサート  2018年12月

パヴァロッティの再来と称され、2月のMETライブビューイング「トスカ」が最高だった1977年生まれのテノール。その来日に足を運んだ。イタリア男らしいサービス精神とナルシストぶりが文句なく楽しい! 来年予定の生オペラが楽しみです。アーチ・エンタテインメント主催。やや空席があるサントリーホール大ホール、中央の前の方で強気の3万2000円。休憩を挟み2時間。
クラシックリサイタルは1曲ごとに歌手と指揮者が出入りするのが興ざめだけど、今回は曲を追うごとにグリゴーロがヒートアップして飽きさせない。楽々と華やかな声量、表現はもちろん、あり合せの小道具やオケ後ろの通路まで使ってガンガン演技し、歌い終われば臆面なく前方上手の熱心な追っかけに「キャー」を、また2階下手の男性客に「ブラボー」を要求。アンコールではタオルを裂いて投げちゃったり、ベタな演歌歌手か! オペラの良さを広めてほしい、と真面目に語ってたのも印象的でした。
お馴染みを並べた選曲もわかりやすくて、のりのり。前半はイタリアのアリア、後半はフランスもの。指揮はローマ出身で日本で公開講座もしているマルコ・ボエーミ。伴奏は若手を集めた感じのフェスティバルオーケストラ東京。
以下はセットリストです。
第1部
ヴェルディ:オペラ「リゴレット」より「あれかこれか」
ヴェルディ:オペラ「リゴレット」より「女心の歌」
ドニゼッティ:オペラ「ドン・パスクワーレ」序曲
ドニゼッティ:オペラ「愛の妙薬」より「人知れぬ涙」
プッチーニ:オペラ「マノン・レスコー」間奏曲
プッチーニ:オペラ「ラ・ボエーム」より「冷たき手を」
ヴェルディ:オペラ「ナブッコ」序曲
ヴェルディ:オペラ「トロヴァトーレ」より「見よ、恐ろしい炎を」
第2部
マスネ:オペラ「マノン」より「目を閉じれば」(夢の歌)
グノー:オペラ「ロメオとジュリエット」より「ああ、太陽よ、昇れ」
サン=サーンス:オペラ「サムソンとデリラ」より「バッカナール」
マスネ:オペラ「ウェルテル」より「春風よ、何故私を目覚めさせるのか」
ビゼー:「アルルの女」第2組曲より「ファランドール」
オッフェンバック:歌劇「ホフマン物語」より「クラインザックの歌:むかしアイゼナッハの宮廷に」
encore
プッチーニ:オペラ「トスカ」より「星は光りぬ」
カプア/カプッロ「オー・ソレ・ミオ」

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