2018年喝采づくし
演劇は例年たくさん観すぎて絞れないんだけど、分断・対立の時代にあってメッセージが鮮烈だったのは、まず庶民の戦争責任を問うた「夢の裂け目」(栗山民也演出、段田安則)。まさか今さら井上ひさしにやられるとは。権威を疑う水木しげるへのオマージュ「ゲゲゲの先生へ」(前川知大作・演出、佐々木蔵之介)、社会の歪みを突きつけるセンスが光った「BOAT」(藤田貴大作・演出)、マクドナーのブラックな笑い「ハングマン」(長塚圭史演出、田中哲司)もパワーがあった。
一方で、足元の幸せをじっくり見つめる秀作も、心に残ったなあ。英国の巨匠ヘアの「スカイライト」(小川絵梨子演出、蒼井優)、アーサー・ミラーの名作「セールスマンの死」(長塚圭史演出、風間杜夫)が秀逸でしたね。特にミラー。まさかこんな地味なお話にやられるとは…
ほかに再演「市ケ尾の坂」(岩松了作・演出)で、普遍的な兄弟愛にしみじみ。特筆すべきは、初体験した木ノ下歌舞伎「勧進帳」。幕切れの開放感が新鮮だった。おかげでまた、ウォッチするクリエイターが増えちゃいましたよ。やれやれ。
女優では年末ギリギリ、「スカイライト」でイメージががらっと変わった蒼井優が筆頭かな。複数の舞台を観た中嶋朋子も、説得力で突出してた。男優陣では、やはり複数の舞台で曲者ぶりを発揮した田中哲司、脇ながら「岸リトラル」から「メタルマクベス」まで、飛び道具なのに雰囲気もある岡本健一。若手では、大東駿介や坂口涼太郎も目立ってたかな。
最後に忘れちゃならない落語。ずいぶん足を運んだけど、喬太郎「任侠流山動物園」が、無茶な設定に講談の技巧が合わさって、意表を突く異次元の可笑しさだった。ほかに爆笑の権太楼「火焔太鼓」、さん喬「百川」、知的な花緑「あたま山」、季節感あふれる市馬「佃祭」、泣かせる文蔵「子別れ」など、いずれも名人芸を堪能。年末は、ぐっと貫禄が出てきた感じの三三「文七元結」で、贅沢に〆ました~
さて、2019年。今のところ大きなイベントは発表されてないみたいだし、エンタメの本数をもう少し絞りたい! けど、無理かなあ。
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