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修道女たち

KERA・MAP#008「修道女たち」 2018年11月

紫綬褒章を受けたばかりのケラリーノ・サンドロヴィッチ作・演出。得意のダークファンタジーながら、ただ信じることの幸せが染みる佳作だ。犬山イヌコが出色の説得力。本多劇場の中央いい席で7400円。休憩を挟んで3時間強。
舞台はどこやら雪深いヨーロッパあたりの山荘。シスターたち(純なマーロウの伊勢志摩、しっかり者のノイ犬山、綺麗なニンニの緒川たまき、アニドーラ松永玲子)と、入信したばかりの資産家母娘(高橋ひとみ、伊藤梨沙子)が毎年の巡礼に訪れ、村の娘オーネジー(鈴木杏)、その幼馴染デオ(鈴木浩介)らが世話を焼く。
たわいない恋の鞘当てやら、禁欲的なはずのシスターたちの脱線ぶりやら、ナンセンスと笑いがたっぷり。なにしろ大真面目で「ギッチョダ」とか言うし。しかしお約束、徐々に影が濃くなっていく。実は最近、修道女が大勢亡くなる事件が起きていて、その一人の兄(みのすけ)が乱入してくる、戦場帰りのデオはなにか屈託を抱えている…
そして高橋が残酷な目にあうわ、デオは腕から木が生えるわ、これでもかというダークな展開の挙句、常に現実的な判断をくだしていたノイが、最後の最後にピュアさを見せつける。答えはない。それでも、抑圧される弱い者たちが、神というより人を信じることで勝ち取る芯の強さ、清々しさ。木工玩具「魂の列車」の印象的なラストシーンとともに、ちょっと意表をつかれちゃう感動。
俳優陣はさすが、みな安定していた。とりわけ杏ちゃんは、野生動物のような俊敏さと切なさに磨きがかかって、改めて才能を感じさせる。最近よく観てる感じの鈴木浩介は、KERA初出演とは思えないほど、笑いも超現実なところもはまってた。
冒頭いつもの登場人物を紹介していくプロジェクションマッピングから、洗練されている。美術は「百年の秘密」などのBOKETA。

 

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