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METライブビューイング「サムソンとデリラ」

METライブビューイング2018-19第2作「サムソンとデリラ」 2018年11月

ネゼ=セガンが音楽監督に就任したシーズン。組曲「動物の謝肉祭(瀕死の白鳥など)」で知られるサン=サーンスの、1877年初演作を聴く。ワーグナーに影響を受けたという壮大なドラマを、エリーナ・ガランチャ(ラトヴィア出身のメゾ)&ロベルト・アラーニャ(イタリアのテノール)の黄金コンビが見事に。特に濃密な2幕が素晴らしい。指揮はイギリスのベテラン、マーク・エルダー。休憩2回を挟み3時間半。東劇で3600円。
お話は旧約聖書「士師記」のガザの英雄サムソンの物語。支配者ペリシテ人に反撃するが、ソレクの谷で美女デリラの誘惑に負け、怪力の秘密を明かしてしまう。捕らわれるものの、捨て身の祈りでペリシテ人とダゴンの神殿を道連れにする。
とにかく美形ガランチャが最強だ。宗教色の強い戯曲を、リアルで命がけの恋愛ドラマにしちゃう。デリラはサムソンを真実愛しており、民族や信仰から奪い返すという解釈。2幕の名アリア「あなたの声に心は開く」が、後半はサムソンも加わってとろけるよう。ハープとクラリネットが美メロだし、妖艶な緑のネグリジェだし。1幕はビヨンセばりに大階段から登場し、3幕でもサムソンへの思いを伺わせる演技に説得力があった。
ヘブライの長老、ディミトリ・ベルセルスキー(ウクライナのバス)が深い声。敵役の大祭司はロラン・ナウリ(フランスのバスバリトン)で幕間インタビューがお茶目だった。
全体には1幕ヘブライ民衆のチャント風合唱から、3幕「勝利のバッカナール(酒宴の踊り)」のバレエまで、要素詰め込みすぎ。トニー賞受賞者ダルコ・トレズニヤックの新演出は、エキゾチックなアーチやレース模様の壁、ゴージャスなキラキラ衣装で歌手を盛り上げていた。ラストは巨大神を崩すのではなく、強い照明で視界から消す工夫。紗幕の手形がよくわからなかったけど。
案内役はスーザン・グラハムで、ガランチャと「メゾはズボンが多いからね~」と意気投合して面白かった。

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