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セールスマンの死

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「セールスマンの死」  2018年11月

アーサー・ミラー作、エリア・カザンが1949年に初演してトニー賞、ピリッツァー賞を得た著名戯曲を、長塚圭史が演出。深い疎外感、最も身近で大事な人との亀裂が、いかに人を傷つけるか。いったいどこで、ボタンをかけ違ってしまったのか? 今も古びない普通の家族の悲劇を、風間杜夫が期待通りに名演。こんな地味なお話に感動するとは… 休憩をはさみ3時間強も長く感じない。徐賀世子訳。KAAT神奈川芸術劇場ホールの前の方いい席で8500円。
口八丁のセールスマン、ウィリー・ローマン(風間)は60歳を過ぎて成績が上がらず、2代目社長ハワード(伊達暁)に疎まれている。長男ビフ(山内圭哉)は盗癖があり、次男ハッピー(菅原永二)は異常な女好きで、どちらも成功には程遠い。
混濁していく意識に、過去がフラッシュバックする。ブルックリンの戸建てを手に入れ、息子とスポーツに興じた幸福な日々。同級生バーナード(加藤啓)に知らされた、ビフの挫折と失望。兄ベン(村田雄浩)について、アラスカの冒険に乗り出す妄想。
どんどん追い詰められていく風間の深い演技に、胸が苦しくなる。だからこそ友人チャーリー(大谷亮介)の、無骨ないたわりに思わず涙。微妙な表情がいいなあ。そして、すべてが崩れ去ってようやく、父への愛情を吐露する山内にまた涙。いつもの怪優ぶりは封印でしたね。
妻リンダの片平なぎさも手堅い。幕開けと呼応するラストの葬儀シーンの、皮肉と後悔が染みる。意外だったはバーテン、スタンリーの加治将樹。ちょい役なんだけど、温かくて存在感があった。
2階建てウィリー家はスケルトンのセットで、その空疎が印象的だ。美術は二村周作。

20181118_008_2

 


徐賀世子訳
徐賀世子訳

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