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贋作(にせさく)桜の森の満開の下

NODA・MAP第22回公演「贋作 桜の森の満開の下」坂口安吾作品集より  2018年11月

野田秀樹が33歳で1989年に初演した代表作の一つを、再々々演出。昨夏の歌舞伎版が評判をとり、パリ上演の話題もあって、チケットはひときわ入手困難に。幕開けとラストの大量の花吹雪で、鮮烈かつ美しく、観るものをねじ伏せちゃうのがアッパレだ。もっとも、贅沢過ぎるキャストの割に感情が伝わりにくかったかな。東京芸術劇場プレイハウスのやや後ろ寄り中央で1万円。休憩をはさみ2時間半。
安吾の幻想的短編を構成して、狂気と紙一重の創造の苦しみを叩きつける。幻の王朝・ヒダの王(野田)から夜長姫(深津絵里)・早寝姫(門脇麦)のため、ボサツを彫るよう命じられた耳男(妻夫木聡)が、大仏制作に身を削り、ついにはピュアで残酷な夜長姫を手にかける。ここにニセ匠2人、すなわちヒダ国を倒すオオアマ=大海人皇子=天武天皇(天海祐希)と山賊マナコ(古田新太)のほか、ヒダ王家のアナマロ(銀粉蝶)、奴隷のエナコ(村岡希美)、オニのハンニャ(秋山菜津子)、エンマ(池田成志)、匠の青名人(大倉孝二)、赤名人(藤井隆)らが入り乱れる。
耳男の彷徨を縦糸とすれば、横糸は古代史・壬申の乱の異説か。体制によって歴史から抹殺されたヒダ国や、はみ出し者たるオニたちが悲しい。それにしても「王冠=缶蹴り」といった独特のかけ言葉や笑いがたっぷりで、あふれるイメージはちょっと消化不良。
妻夫木は「振り回されキャラ」にますます磨きがかかり、呆然ぶりが秀逸。天海はさすが宝塚の立ち姿、身のこなしで男前が際立つ。深津の現実感の無さもはまってた。
手前のスロープで舞台下から、俳優が走って出入りするのが面白い。いつものよう造形はキッチュでダイナミックだ。舞台を覆う紙を破って、下からにょきにょきオニが現れたり、テープを建物に見立てたり、金幕をバーンと降ろしたり。美術は堀尾幸男、ポップな衣装はひびのこづえ。

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