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書を捨てよ町へ出よう

RooTS Series『書を捨てよ町へ出よう』 寺山修司没後35年記念  2018年10月
60、70年代のアングラ演劇に若手が挑むシリーズ。寺山修司の初期作をベースに、気鋭の藤田貴大が上演台本・演出を手がけて話題になった2015年の舞台の再演だ。
原作は評論集を元に、68年に初演。タイトルは耳にしていたものの、勉強不足で内容についての知識はなかった。71年ATG映画での出演者といえば、東京キッドブラザース、
美輪明宏、下田逸郎… そんな時代背景を、1985年生まれの藤田がよく勉強しました、という感じか。老若男女、幅広い演劇好きが集まった東京芸術劇場シアターイースト、前から2列め中央のいい席で4800円。休憩なしの2時間強。
物語は青年わたし(佐藤緋美)の、無為でとりとめない日常だ。万引き癖のあるばあさん(小柄な召田実子)、以前は屋台をひいていたアル中のおやじ(中島広隆)、兎だけが話し相手の妹せつこ(お馴染み青柳いづみ)との、先のない暮らし。高田馬場にある大学にもぐり込み、サッカー部主将おうみ(お馴染み尾野島慎太朗)に憧れるものの、その人格は荒れていて…
短歌のリズムや母への拘泥など、通底する要素はあるものの、やはり若手の藤田にとって、寺山の露悪的なヒッピー文化やヒリつくコンプレックスのようなものを伝えるのは難しそう。冒頭、解剖シーンからカメラ、映像を多用し、川崎ゆり子がハンドマイクでハキハキと懇切に、作家の狙いを説明する(おうみの恋人れいこ役も)。加えて映像では歌人・穂村弘、又吉直樹、詩人・佐々木英明(映画「書を捨てよ…」主演)も登場。なんと後半には脈絡なく、ダーツで又吉作コントを演じて笑わせる(この日はオオカミコント)。いろいろ工夫してます。
俳優たちが工事用の足場(イントレ)を組み立て、組み替えていくお得意の精密な動きは、かなり面白い。出演者が髙いところを歩くと、不安定で目が離せないし、最後は音をたててバラバラになっちゃう。銃乱射にいたる若い魂の荒廃。ほかに寺山が舞台に取り入れたという、セピア効果があるナトリウムランプや、山本達久によるドラム演奏もあって盛りだくさん。
初舞台の佐藤は浅野忠信・Chara夫妻の長男で、1999年生まれのまだ18歳。クルクルの髪が愛らしいけど、最近見た2世の若手たち、宮沢氷魚(1994生まれ)や村上虹郎(1997生まれ)と比べるとこれからかな~ 青柳がいつもながらの透明感を示しつつも、色気が増した印象だ。小柄で映像担当の召田は、ちょっと樹木希林を彷彿とさせる怪演でした。

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