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歌舞伎「金閣寺」「鬼揃紅葉狩」「河内山」

秀山祭九月大歌舞伎  2018年9月

播磨屋の練達の芸に加え、歌右衛門襲名を控えて病に倒れた福助が5年ぶりの復帰という話題もあって、昼の部に足を運んだ。歌舞伎座前方中央のいい席で1万8000円。休憩2回でたっぷり5時間弱。

幕開きはお馴染み「祇園祭礼信仰記 金閣寺」。文楽で2回、歌舞伎でも2016年雀右衛門襲名で鑑賞した、見どころ満載の演目だ。松緑の松永大膳は2枚目で、国崩しにしては優しい感じ。赤面の弟・鬼藤太、坂東亀蔵がいつもながら朗々として気持ちがいい。対する瓢箪柄の羽織の真柴久吉、梅玉はさすがにお年は隠せないものの、ノリ地のセリフ対決、そして井戸から碁笥を取り出すシーンと、古風さがいい風情だ。直信・幸四郎の極端ななよなよぶりに驚いた後、福助の長男・児太郎演じる雪姫が、桜の花びらがどさどさ散る名シーン「爪先鼠」で健闘。色気は今ひとつながら、はすに構えた決めポーズ、名刀に顔を映して髪を直す引っ込みまでを丁寧に。
大詰めはセリ下げで、ついに慶寿院尼・福助が登場。セリフもあって客席は涙涙だ。ラストは小田軍勢で、福助の甥にあたる橋之助と福之助をはじめ左団次の孫・男寅、松江さんの長男・玉太郎が若々しく揃って幕となりました。

ランチ休憩後は松羽目の舞踊「鬼揃紅葉狩」。萩原雪夫作、1960年初演だそうです。能楽「紅葉狩」をベースにした作品は、玉三郎版の舞踊や文楽で観たことがあるけれど、本作はそれと比べてもかなり賑やか。
舞台は戸隠山。囃子方を中央奥に、上下に常磐津、竹本が陣取る。平維茂(古風さが映える錦之助)と従者(廣太郎、隼人)が、更科の前(幸四郎、ちょっとごついかな)、侍女たち(ベテラン高麗蔵、可愛い米吉、大活躍の児太郎、澤村宗十郎の部屋子・宗之助ら)に誘われて、酒を酌み交わし舞を楽しむ。2舞扇が贅沢だ。男たちがうたた寝したところで間狂言となり、男神(玉太郎)、女神(東蔵)の祖父・孫コンビがきびきびと、主従に危難を警告。御簾内の大薩摩が盛り上げる。後半は維茂たちが山奥の古塚に至り、正体をあらわした鬼女、眷属との立ち回りに。侍女たちが全員鬼に変じるのが特徴だそうで、がんがん毛振りするのにびっくり。皆さん、がんばりました!

短い休憩の後、お待ちかね「天衣紛上野初花 河内山」。2015年の海老蔵が良かったけれど、本家・吉右衛門の貫禄、愛嬌の絶妙バランスと、緩急自在の黙阿弥節、ワキも充実していて大満足だ。
序幕・上州屋質見世から、木刀で50両借りようとする河内山の人を食った感じがチャーミング。「ヒジキに油揚げ」などのセリフが笑いを誘う。後家おまき(貫禄の魁春)が娘の危難を打ち明け、親類の和泉屋(粋な歌六)が前金100両を渡す。回り舞台で2幕目松江邸広間の場へ。トンデモ松江候(幸四郎、チャレンジしてます)とワルの大膳(吉右衛門の部屋子・吉之丞)対、浪路(米吉)、数馬(凛々しい歌昇)、家老・高木(歌六の弟・又五郎が安定)の関係を見せる。
続く書院の場で寛永寺の使僧に化けた河内山が乗り込んでくる。思い切りわざとらしく取り澄ましておいて、松江候を脅し、家臣にカネを要求。時計の音に驚くあたり、憎めないなあ。大詰め玄関先の場でホクロから正体がバレてからが真骨頂。開き直っていく七五調のスケール、権威をものともしない痛快さ。江戸を堪能しました!

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