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死ンデ、イル。

モダンスイマーズ「死ンデ、イル。」  2018年7月

1週間で2本めの蓬莱竜太作で、今回は演出も。「句読点三部作連続上演」と銘打った公演のラストで、重い家族の閉塞を、笑いをまじえて描く。オーディションで選ばれた片山友希ら、俳優陣が熱演だ。東京芸術劇場シアターイーストの、迫力の最前列で3000円。お得です。休憩無しの2時間弱。
雑誌のライター(小椋毅)が、行方不明になって2週間たつ女子高生・七海(片山)を探すため、関係者を集めてインタビューする。七海は原発事故で自宅に住めなくなり、姉夫婦(成田亜佑美、津村知与支)とともに、叔母(千葉雅子)の一人暮らしの家に身を寄せる。突然の暮らしの変化は様々なきしみを引き起こし、さらには恋人(松尾潤)、体育教師(西條義将)、東京に住む叔父(古山憲太郎)の存在も、七海を追い込んでいく。
初演は2013年。被災者という難しい設定を、生々しく扱っている。とはいえ描かれるのは、決して特殊な感情ではない。
年が離れた親代わりの姉、これまで疎遠だった個性的な叔母。詳しく背景を説明しないが、互いにわだかまりを抱えていて、本当なら距離を置きたい関係だ。それなのに近づかざるを得ず、傷つけあってしまう。家族という存在の、逃れようのない困難。
孤独で無力な七海がどうしようもなくなって、まだ立入禁止の自宅、そして海を目指すのが悲しい。タイトルはその死を暗示するけれど、幕切れは必ずしもそうとばかりは言い切れない感じで、余韻を残す。
細身の七海が、幼く繊細でいい。千葉は不機嫌な人物の造形で、さすがの説得力を発揮。ニクニクしいけど憎めないんだよなあ。マームとジプシーでお馴染みの成田も、特徴のある声が切なく迫ってくる。NODA・MAPなどの野口卓磨が、浮浪者風の「二本松の男」を切なさいっぱいに造形して、目立っていた。松尾や西條はコメディセンスがいい。
椅子など最低限のセットに、照明やビデオカメラ、スクリーンに映し出す文字や映像を組み合わせてイメージを膨らます。そのほとんどは七海が残したスケッチブックのページ、という設定で、やがてライターの文字と重なっていく仕掛けが巧い。美術は伊達一成、照明は沖野隆一。
今回もアフターイベントがあり、蓬莱と生越千晴が絵本を朗読。俳優陣がパントマイムのような寸劇を演じた。本編の別バージョンのようになっているのが面白く、少し救われる気分になった。

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