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消えていくなら朝

消えていくなら朝  2018年7月

新国立劇場演劇芸術監督、宮田慶子の2期8年の締めくくりで、蓬莱竜太の私小説的な書き下ろしを宮田が演出。
問題はどんな家族にもある。だけど決して断ち切れない、うじうじと考え続けざるを得ない、それが家族。辛い人間関係を抉りつつ、笑いをまぶしていてテンポもいい。新国立劇場小劇場、下手より最前列で6480円。休憩なしの2時間。
劇作家・定男(鈴木浩介)が帰省、18年ぶりに一家が揃ったところで彼らを題材に新作を書く、と宣言する。噴出する互いへの非難。長く信仰に没頭してきた母(梅沢昌代)、母の理想の息子を演じて挫折した兄(山中崇)、母と心が通わずにきた父(高橋長英)、父を支えて平凡な幸せを逃した妹(高野志穂)。いったい誰のせいでこうなってしまったのか。
定男は世間的に成功してはいても、家族の歪みから逃げてきた。だから苦労しても「好きなことしているだけ」と断罪されちゃう。甘えと驕りを、連れてきた恋人(文学座の吉野実紗)が相対化する。向田邦子だなあ。
俳優陣はもちろん、みな達者だ。鈴木の切なさを筆頭に、はきはきした個性が哀しい吉野、控えめなようでいて突如「母はフィリピン」と告白する意外性の高野がいい。シンプルな居間のワンセットに字幕を投影。美術は池田ともゆき。
宮田さんのラインアップはそれほどたくさん観ていないけど、振り返るとSFの2011年「イロアセル」(倉持裕作・鵜山仁演出)、名作翻訳劇の2017年「怒りをこめてふり返れ」(千葉哲也演出)、井上ひさし作を復刻した今年の「夢の裂け目」(栗山民也演出)あたりが印象的だったかな。

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