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METライブビューイング「ルイザ・ミラー」

METライブビューイング2017-18第9作「ルイザ・ミラー」 2018年5月

ヴェルディの割に、馴染みがない演目に足を運んでみた。中期「リゴレット」に先立つ1849年初演とあって、過渡的な作なのか、前半は満艦飾のベルカント、幕切れは浄瑠璃ばりの怒涛の人間ドラマと、てんこ盛り過ぎ。しかしそこはさすがのスター競演で、甘いメロディーとあいまって、聴くものを酔わす贅沢な舞台でした~ 
レヴァイン降板で指揮はフランスのベルトラン・ド・ビリーが手堅く。4月14日の上演。空いている東劇で3600円、休憩2回を挟み3時間半。
ストーリーは割とシンプルな、身分違いの恋の悲劇だ。敬虔な村娘ルイザ(ブルガリアのソプラノ、ソニア・ヨンチェヴァ)がそうと知らず、領主の息子ロドルフォ(ポーランド生まれのテノール、ピョートル・ベチャワ)と相思相愛に。裕福な未亡人(若手メゾのオレシア・ペトロヴァ)との縁組を画策する悪玉領主・ヴァルター伯爵(ロシアの大型バス、アレクサンダー・ヴィノグラドフ)は、ルイザの父ミラー(プラシド・ドミンゴ)を投獄する。
ルイザは伯爵の手下ヴルム(ウクライナ生まれのバスの新星、ディミトリ・ベロセルスキー)に脅されるまま、偽りの手紙をしたため、父の釈放を確かめると、激怒したロドルフォのもった毒をすすんであおっちゃう。その真心を知ったロドルフォは父の悪事を暴露し、ヴォルムを道連れにルイザのあとを追う。
高い技巧と容姿を兼ね備えた恋人ふたりが強力だ。今シーズンの「ノルマ」がよかったヨンチェヴァは、やや暗い個性が、「椿姫」の先駆といわれる犠牲的なヒロインに合う。2幕の名曲「神様、お許しください」などで、輝く高音を披露。ベチャワも苦悩ぶりがはまっており、幕切れのロマンチックなアリア「穏やかな夜」をたっぷりと。悪役の低音2人が人間の弱さ、屈折を表現し、珍しいバス2重唱は圧巻でした。
そしてなんといっても77歳のレジェンド、ドミンゴ。テノールとしてロドルフォを得意としていたけど、今回は堂々、バリトン役に挑戦して観客も大喝采。菊五郎さながらの別格感です。
エライジャ・モシンスキーの鉄板演出は、40年近く前にドミンゴが登板した伝説のプロダクションとか。のどかなチロルの村や、重厚な伯爵邸などが古典的で落ち着いている。案内役は華奢なテノールのA・R・コスタンゾ。ドミンゴへの尊敬があふれてましたね。
若手の起用が目立った今季のライブビューイングは結局、10作中4作を鑑賞しました。来季はネトレプコの「アイーダ」、ヴェストブルック&カウフマンで「西部の娘」、ダムラウ&フローレスで新演出「椿姫」等、大物復帰の印象だ。演目ではガランチャ&アラーニャの「サムソンとデリラ」、ネトレプコがずばり女優役という「アドリアーナ・ルクヴルール」が気になるかなあ。

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