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ホフマン物語

ホフマン物語  2018年3月

2014年のリヨン歌劇場公演が面白かったオッフェンバック作品を鑑賞。ひたすら心地よく、耽美的な音楽に、演出もスタイリッシュで堪能。芸術家っていうのは、人間としてはダメダメでも愛すべき存在なんだなあ。
指揮はフランス音楽の正統派セバスティアン・ルラン(新国初登場)、東京フィル。日本人キャストが多いせいか、着物の女性や一人客も目立ち、ブラボーがガンガンかかってました。新国立劇場オペラハウス、2階最前列の中央で1万9440円。30分休憩2回で3時間半。

絶望する詩人ホフマンのディミトリー・コルチャック(ロシアの若手テノール)は、野性的で格好いい。徐々に調子を上げて、4幕「僕を魅了するものは」あたりを存分に。悪役4役の大柄トマス・コニエチュニー(ポーランド生まれのバス・バリトン、新国初登場)が、世界的ワーグナー歌手らしく、太い声がよく響いて圧巻。3幕で芸術のために命を落とすアントニアの砂川涼子(藤原歌劇団のソプラノ)も、「雉鳩は逃げた」などが伸びやかで、際立ってた。見た目も可愛いし。
2幕の完璧だけど命をもたないオランピア、安井陽子(17年のジークフリートでも観た二期会のソプラノ)は「人形の歌」で超絶技巧を披露。舞台回しニクラウス/ミューズのレナ・ベルキナ(ウクライナ出身のメゾ、13年フィガロのケルビーノで聴いたベルカントのスター)は3幕「見ろ、震える弓の下で」や、男の鏡像を奪う魔性の娼婦ジュリエッタ、横山恵子(二期会のソプラノ)と3幕で大好きな「舟歌(バルカロール)」を聴かせた。

幻想的な演出はパリ生まれ、フィリップ・アルロー。16年「アンドレア・シェニエ」同様、シンプルながら、傾斜と廻り舞台の階段を多用してダイナミックだ。特に3幕が出色。上方から運命の弦楽器が吊られ、不安がひしひし。アントニアとホフマンの熱愛2重唱「ああ、信じていました」では楽器に代わって花が満ち、不気味な男声3重唱「危険を避けるために」から照明で変化をつけていくのも巧い。再演演出は澤田康子。
1幕の酒場には賑やかにフレンチカンカンが登場。色彩も鮮やかで、2幕の蛍光色の緑は魔酒アブサンを思わせる。4幕は斜めの巨大ゴンドラを背景に、退廃的な酒とギャンブルに興じる人々を赤で表現。天井に映りこむ感じも面白かった。5幕ラストは倒れたホフマンを全員が見守り、「涙によってさらに偉大になる」と大合唱、アポテオーゼ(エーザー版)でした。

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