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近松心中物語

シス・カンパニー公演 近松心中物語  2018年2月

秋元松代作で1979年初演、蜷川スペクタクルの代表作(アートディレクター辻村ジュサブロー、美術朝倉摂、平幹二朗・太地喜和子主演!)に、いのうえひでのりがチャレンジ。新国立劇場中劇場、下手寄りやや前の方で9500円。休憩を挟んで2時間半。

お馴染み「冥途の飛脚」をベースにしつつ、マイナーな「緋縮緬卯月の紅葉」「跡追心中卯月の潤色」を織り交ぜた物語。堅物だった飛脚屋の養子・忠兵衛(堤真一)が、大阪新町の廓で見世物女郎・梅川(宮沢りえ)と宿命の恋に落ち、身請けを阻止しようと公金に手を付ける。
高い格子で回る無数の赤い風車や、群衆をのせて回る2階建てセットが印象的(美術は松井るみ)。伝説の舞台に挑んだ宮沢りえのさすがの女っぷり、セリフ回しの芯の強さが際立つ。堤も古風で、熱量が高い持ち味に、羽織落としなど歌舞伎の所作が合う。期待通り、奥行きのある舞台、降りしきる雪の中で最期をキメる。

しかし忠兵衛・梅川よりも、コミカルなもう一組の男女の成り行きが、胸に刺さった感じ。商売下手な道具屋の婿養子・与兵衛(池田成志)は、責めてばかりの姑(銀粉蝶)に対する反発から、幼馴染の与兵衛を応援して店のカネを使い込んじゃう。暑苦しいけど一途な女房・お亀(小池栄子)は、幼くも憧れの心中に突っ走って命を絶つ。ところが与兵衛は死にきれず、坊主となって彷徨う。
蜆川堤でのベタなドタバタ、落ちぶれても生きていく与兵衛の無様さが、現代人に通じるあわれさだ。2人とも達者だなあ。

シビアな敵役に徹した八右衛門に市川猿弥、世間を象徴するような忠兵衛の義母・妙閑に立石涼子、そして忠兵衛を応援する廓の主人(大阪ジメも)に小野武彦と、脇も盤石だ。群衆は文学座やナベプロ、日本舞踊など。

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