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密やかな結晶

密やかな結晶  2018年2月

小川洋子のファンタジーを、鄭義信脚本・演出で。ミュージカル風で可愛らしかったけど、終盤のヒリヒリ感はいまひとつかな~ 主催・企画制作はホリプロ。東京芸術劇場プレイハウス、中ほどで9000円。休憩を挟み3時間弱。

「フォーゲット島」は鳥や香水といったモノ、それにまつわる記憶が徐々に「消滅」していく不思議な孤島。外見は若者の「おじいさん」(村上虹郎)と暮らす小説家の「わたし」(石原さとみ)は、禁じられた記憶を隠しもっており、担当編集者「R氏」(鈴木浩介)も「記憶保持者」だと知って、隠し部屋に匿う。いつしか2人に恋が芽生えるが、秘密警察(山内圭哉ら)の厳しい「記憶狩り」が迫り、わたしの存在も消滅の危機に…

「消滅」というテーマは舞台や小説でいろいろあるけど、問答無用で切ないなあ、と改めて思う。人を形作るのは、誰にも奪えない大切な人との記憶であり、形のない記憶を支えるのは物語。だからR氏は消え行くわたしを、小説を書くよう励まし続ける。もっとも主演2人は、大きな舞台では求心力が弱かった感じ。
村上は期待通り、どこか頼りない持ち味がいい。密かにわたしを慕うたどたどしい歌と、雨のなかで迷子のようになるシーンが染みる。何故若者の姿のままなのか、モヤモヤしちゃったのが残念だったけど。
飛び道具的な山内が、コミカルな存在感を発揮。関西弁で存分に笑わせ、鈴木との兄弟の再会で泣かせる。手下などの藤原季節、山口ジェームズ武、福山康平ら若手も歌にダンスに健闘。
わたしの洋風邸宅などは乙女チックで、2階建てのセットを回して場面を転換していく。ラストで舞い上がる、無数の真っ赤な花びらが美しい。美術は土岐研一。

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