こがねい落語「元犬」「反対俥」「子別れ」「看板のピン」「品川心中」
こがねい落語特選 新春 温故知新~革新の落語家たち 2018年1月
武蔵小金井駅前の立派なホールの落語会シリーズに足を運んでみた。特選と銘打つだけあって、ハイレベルなラインアップだ。古典、かつ太神楽まで入って寄席・豪華版のよう。お得だなあ。ロビーで地元和菓子店のおまんじゅうを売っていたり、地域密着の雰囲気も楽しい。小金井宮地楽器ホール大ホール、前の方で3500円。
橘家門朗(もんろう、橘家文蔵さんの弟子)が開口一番で、おなじみ「元犬」をしゃきっと。本編のトップバッターは林家彦いちが、会場で「録音を始めます」と電子音が響くとか、空港の「機長が来ていないので欠航します」騒動とかで笑わせてから、「反対俥(はんたいぐるま)」。急いでいるので人力車に乗ったのに、車引きはよたよた、車もオンボロ。仕方なく乗り換えると、今度は元気いっぱいなのはいいが、障害物をものともせず暴走しちゃう。木久扇さん門下らしく、個性的ないかつい風貌とスポーツウエア風のライン入り着物で、一気に。
続く橘家文蔵が、うって変わってなんと「子別れ」下をたっぷりと。正調・人情噺で、父親がいじめっ子の存在にいきりたつあたり、泣かせます。父母それぞれから互いの様子を探られ、いらつく亀がなぜか猪木風になるくすぐりも。文左衛門時代の2012年に聴いて以来の、林家彦六の孫弟子。丁寧です。
というわけで仲入り後の三遊亭遊雀は、「子別れは長いだろ~」、客席の物音に「子別れ中だったら大変よ~」と笑わせつつ、兼好、文楽で聴いたことがある「看板のピン」をさらっと、しかしポイントはしっかりと。初めて聴く噺家さん。1965年生まれで、白髪の風貌と雰囲気がなかなか粋ですねえ。
続いて色物で、鏡味正二郎(かがみ・せいじろう)の太神楽曲芸。72年生まれでキビキビ、ハラハラ。文句なしに楽しい。
トリは本命・喬太郎さん、どうするかと思いきや、北の若旦那とダイコ持ちのギャグを振っておいて、「品川心中」上。女郎・お染がカネに詰まり、仲間に軽んじられるのが嫌さにお客と心中しようとする。お客を選ぶくだり、今日の出演陣の人物評が可笑しい。お客を桟橋から突き落としたところへ、カネが工面できたとの知らせがあり、ひとり店に戻っちゃう。遠浅だったため、お客は死なずに親方のところへ戻り、ひと騒動、さて仕返しは…。現金な女郎の造形がさすがに巧い。充実してました!
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