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神々の黄昏

神々の黄昏  2017年10月

開場20周年の記念イヤーとなる、新国立劇場オペラ2017/2018シーズン。幕開けは、もちろん芸術監督・飯守泰次郎指揮で、ワーグナー「ニーベルングの指環」だ。この新制作シリーズも第3日でついに完結。45分、35分の休憩を挟み6時間もの長尺で、問答無用の壮大かつ甘美な音楽にどっぷり浸る。「英雄」「角笛」「歓呼」「ヴァルハル」「愛による救済」など、次々に耳馴染みの示導動機が響いて、ヒットメドレーの趣きも嬉しい。オペラパレス中段、まさかの最前列真ん中という超贅沢な席で2万4300円。

歌手は安定。特に宿命の女・ブリュンヒルデのペトラ・ラング(ドイツのソプラノ)は、振幅が大きく迫力があった。2016年にウィーン日本公演の「ワルキューレ」、新国立の「ローエングリン」(メゾだった)と、よく聴いた人。愛に生き、陰謀によって裏切られ、毅然と英雄を葬って世界を崩壊させ、そしてラストに再生を示す。この長い物語の主役は、ブリュンヒルデなんだなあと納得しちゃう。
愚かにもブリュンヒルデを裏切る英雄ジークフリート、4作完走のステファン・グールド(アメリカのテノール)は無邪気な造形だ。やや抑えめながら、弱音がしっかり響くあたり、貫禄がある。一回り大きくなったかな? そして指輪=権力を求めて2人を追い詰めるアルベリヒの息子ハーゲン、アルベルト・ペーゼンドルファー(オーストリアのバス)が、屈折を見事に表現。劇的な低音、大柄でスケール感も十分とあって、カーテンコールの拍手が大きかった。得な役ですね。
それとは知らずジークフリートを横取りするギーヒビ家の姫・グートルーネの安藤赴美子(ソプラノ)は、戸惑いが前面に出て、姿も良くて健闘。当主で兄・グンターのアントン・ケレミチェフ(ブルガリアのバリトン)は引き気味か。ブリュンヒルデを諌めに来る戦乙女ヴァルトラウテはヴァルトラウト・マイヤー(ドイツのメゾ)、アルベリヒは小柄な島村武男。

2幕結婚式から登場する合唱は、新国立劇場に二期会が合流。ピットを埋め尽くすオケは、珍しく読売日本交響楽団。初めて聴いたけど、管をはじめとして、ちょっと不安定だったか。
飯守さんが選んだゲッツ・フリードリヒの演出は4作を通じ、あくまで音が主役のシンプルさを貫いた。照明を落とし、青く光る管の水面や、LEDの炎、背景の巨大な円盤に映し出される空などが美しい。ギービヒ家に点在する丸いレンズで、歌手の顔を拡大する仕掛けが、暗く膨らんだ自我を思わせ知的でした。
運営財団の著名財界人、元外交官らがいらしてました~

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