髑髏城の七人 Season花
ONWARD presents劇団☆新感線「髑髏城の七人」Season花 Produced by TBS 2017年6月
東京・豊洲で3月にオープンした「IHIステージアラウンド東京」のこけら落とし公演。客席周囲360度を、ドーナッツ状にステージが取り囲み、直径33メートル、1300人を載せた客席の盆がまるごと回転して、眼前にシーンが展開していく。スクリーンの映像が連動して、間口の広いステージがさらに広がり、どでかいスケール感を存分に楽しめる。視界は最大180度とか。
オランダに次ぎ世界で2例目という、まさに遊園地の一大アトラクション体験だ。観る側も動いて、舞台の躍動とオーバーラップ。これは体感する価値あり! 女性グループが多め、お祭り気分の客席の、下手寄り後方ブロックCで、1万3000円。休憩を挟んで4時間近いけど、あっという間です。
お話は1990年初演の劇団代表作とのことで、遊園地にふさわしいシンプル、かつファンタジーなチャンバラ活劇だ。黙阿弥ばりの大仰な台詞と見得の連続、はっきりしたキャラが気持ちいい。
時は信長亡きあとの乱世。風来坊・捨之介(小栗旬)が、関東の覇権を狙う暴虐・天魔王(成河)と対決し、屈折した色里の主人・蘭兵衛(山本耕史)がからむ。捨之介に共感して、健気な沙霧(清野菜名)や気風のいい花魁・極楽太夫(りょう)、暴れん坊の兵庫(青木崇高)、ただ者でなさそうな浪人・狸穴二郎衛門(近藤芳正)、そして変人刀鍛冶・贋鉄斎(古田新太)らが結集する。
小栗が爽やかに、時に飄々と漫画チックな舞台を牽引。全員、駆け回るけど、特に小柄な清野が飛んだり跳ねたりで大活躍だ。ハスキーな声もチャーミング。高橋英樹への道を歩むかのような山本のアクの強さに、成河のキレはちょっとかすみがちか。古田が安定のギャグで沸かせる。
横長のパノラマを生かした花畑や本水の雨、河、飛び去る鳩、上下にも動くCGがインパクト大。奥行の不足を鏡で補う工夫も。蜷川さんだったら、どう使うかなあ。キャスト、演出を替えて4バージョン、1年3カ月という超ロングランだそうだ。作・中島かずき、演出・いのうえひでのりの、エンタメ設計力に舌を巻く。
2020年いっぱい、期間限定の劇場。ロビーでは木村屋の特製あんぱんなどを楽しめる。客席には藤原竜也、木梨憲武らしき姿も。
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