トスカ
パレルモ・マッシモ劇場「トスカ」 2017年6月
2010年ロイヤルオペラ来日の際には、キャンセルになったアンジェラ・ゲオルギュー(ルーマニアのソプラノ)聴きたさに、主演舞台に足を運んだ。演目はずばり、ディーバ役の「トスカ」! シチリアの劇場ゆえか、素朴かつ保守的な味わいで、キャッチーなプッチーニ節をストレートに楽しめた。ジャンルカ・マルティネンギ指揮。オーチャードホール中段上手寄りで3万8000円。休憩2回を挟み3時間強。主催はコンサート・ドアーズ。
ゲオルギューは貫禄たっぷりで、色っぽいというよりピュアな印象。2幕「歌に生き、恋に生き」はもちろん、警視総監スカルピアをめった刺しにするシーンのなりふり構わない必死さ! 恋人カヴァラドッシのマルチェッロ・ジョルダーニ(シチリア生まれのテノール)も引けを取らず、お馴染み1幕「妙なる調和」、3幕「星は光りぬ」と、テノールらしい高音を存分に聴かせる。スカルピアのセバスティアン・カターナ(ルーマニアのバリトン)は悪役としては淡泊めだけど、1幕「行け、トスカ」などが安定。脇役まで隙が無く、なかでも堂守パオロ・オレッキア(ローマ生まれのバリトン)の声が良く響いて、拍手が大きかった。
アルゼンチン出身マリオ・ポンティッジャの演出は、1幕の教会のドーム天井、2幕スカルピアの居室の壁を埋める絵画などが、ゴージャスながら古典らしく、落ち着いて鑑賞できる。3幕は遠くにサンピエトロ大聖堂の丸屋根をのぞんで、旅情を誘うスタイルでした。
ホワイエにゆとりがあっていい雰囲気。客席には経済人の姿も。
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