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部屋に流れる時間の旅

チェルフィッチュ20周年記念「部屋に流れる時間の旅」  2017年6月

岡田利規作・演出の演劇カンパニーによる追加公演。音・美術は美術家の九門剛史。喪失と再生の真面目な物語を、床に置いたライトなど多様な小道具を動かしつつ、淡々と語る。シアタートラム、全席自由の中段を選んで3150円。2016年の京都初演後、世界16都市を巡回したという。休憩無しの75分。

設定は2012年。一樹(吉田庸)の部屋では、震災直後に亡くなった妻・帆香(マームとジプシーでお馴染みの青柳いづみ)が息づき続けている。亡くなった者、過去の抱いた「とても不幸な出来事だったけど、世の中が良くなる気がする」という希望が悲しい。私たちは、そんなに良くなりはしなかった現在を知っているから。それでも男は、訪ねてきたありさ(安藤真理)と、未来に踏み出そうとする。頭脳派という印象。

俳優3人は緊張感の高い演技。これよみがしではなく、吉田が客席に背を向けて椅子にかけたまま、足をぐらぐらさせる、といった不安定さはインパクトがある。
一方で動く小道具や音響は、仕掛けが満載だ。風に揺れるカーテン、回るターンテーブル…。面白いんだけど、ちょっと消化不良気味かな。

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