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クヒオ大佐の妻

クヒオ大佐の妻  2017年6月

映画「クヒオ大佐」(2009)の吉田大八監督による作・演出で、「紙の月」(2014)で絶賛された宮沢りえと、再びタッグを組んだ舞台。一見普通の主婦が暴走するんだけど、宮沢は全くみじめに見えず、美しい。ただ吉田さんは舞台2回目のせいか、刺激的な設定と配役の割に、説明調のセリフが多いのはもったいなかったかな~ コアな演劇ファンが集まった感じの、コンパクトな東京芸術劇場シアターウエスト最後列で7600円。休憩無しの2時間弱。

雑然とした安アパートのワンセット。洋裁仕事でミシンを踏む夏子(宮沢)の部屋に、宅配便の配達員・今井(お馴染みハイバイの岩井秀人)が訪れ、高校の同級生で憧れていた、夫の結婚詐欺師クヒオ大佐のことを聴かせろ、と上がり込む。そこへクヒオに金を貢いだという佐知江(ハイバイの川面千晶)、同じアパートに住む子供シンイチと、その父でクヒオに妻を寝取られた河端(水澤紳吾がなんと2役!)がからむ。

1970年代から90年代にかけて、米軍パイロットを自称した実在の詐欺師クヒオが題材。ただクヒオ本人は登場せず、待ち続ける夏子のなかで膨らんでいく、妄想の異様さを描く。この空疎の正体は、いったい何なのか?
プログラムなどで宮沢が着ているスカジャンが、アメリカ支配を強く示唆し、中東の紛争も話題になる。とはいえ、いまひとつ焦点を結びにくかったかなあ。はすっぱながら温かみが漂う川面は、宮沢といいバランス。水澤が怪演。

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