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團菊祭「壽曽我対面」「伽蘿先代萩」「四変化弥生の花浅草祭」

團菊祭五月大歌舞伎  2017年5月

当代菊五郎の父・七世尾上梅幸の二十三回忌、そして菊五郎劇団の柱だった十七世市村羽左衛門の十七回忌追善と銘打った團菊祭・夜の部。次代を担う2人、尾上菊之助の切ない政岡と、市川海老蔵の凄み炸裂・仁木弾正が頼もしい! 1階中央のいい席で1万8000円。休憩3回を挟み4時間半。

まずは祝い幕を開けて「壽曽我対面」から。羽左衛門の長男で長老・坂東楽善、その息子たちで彦三郎、亀蔵の襲名&新・彦三郎の長男・亀三郎の初舞台と、一家揃い踏みのお披露目だ。紅白の梅が咲くセットで、後半は奥の襖を開けて雄大な富士山も。
なんと初役という工藤祐経の尾上菊五郎は、武将というより親分だけど、さすがに悠然としつつ、リアルさがある。亀蔵、しゅっとした尾上松也、萬次郎の長男・竹松らの家来たち、ちょっとお年の楽善ら大名たち、さらに楽善の弟・市村萬次郎、綺麗な梅枝(時蔵の長男)のド派手な傾城たちが居並ぶなか、上品な中村時蔵と勇ましい彦三郎の曽我兄弟が登場する。彦三郎の大音量は迫力だけど、ちょっとバランス悪いかな。重宝友切丸を持参する楽善の末の弟・河原崎権十郎に手を引かれ、ちっちゃい亀三郎が出てくると、可愛くて大拍手。狂言のあと、そのままお楽しみの口上へ。坂東家の実直さがいい感じです。

食事休憩の後、眼目の「伽蘿先代萩」。前半の序幕第一場・足利家奥殿の場は菊之助が奮闘する。ふっくらとして、声が通って上品。2013年に観た藤十郎さんに比べると、凄まじさは薄いけれど、その分、大詰めの悲しみが率直に胸に迫り、思わず涙… 栄御前の中村魁春は迂闊さが滲み、八汐は嫌味のない中村歌六。沖の井の梅枝と、松島の尾上右近が控えめながら綺麗だ。
第二場・足利家床下の場で、きびきび男之助・尾上松緑の手を逃れた鼠が、すっぽんで仁木弾正に変身する。スモークと手燭の灯りのなか、口をきかずに妖しく笑い、悠々と花道を引きあげる海老蔵。スケールが大きくて格好いい。
短い休憩を挟んで、二幕目問註所対決の場は実録風に。実直な渡辺・片岡市蔵、山中・大谷廣松(友右衛門の次男)、民部・市川右團次(初の團菊祭!)らが仁木を告発するものの、一味の管領・大谷友右衛門は相手にしない。そこへ細川勝元・中村梅玉が駆けつけ、「虎の威を借る狐」などの名調子で裁く。いつもながら古風でいいなあ。印に引目を入れる、というのは、知らなかったです。
そしていよいよ大詰・問註所詰所刃傷の場。なんといっても花道から登場する海老蔵の、追い詰められ、我を失ったさまが怖過ぎ~ これでもかと渡辺を押さえつける所作、あわやというところで討たれちゃって、手足を大きく広げたまま運び上げられる…と、見どころ満載だ。特にワルが敗北したときに漂わす哀切には、この人ならではの魅力がある。勝元がすべてをおさめて大団円でした。

最後は長尺の舞踊「四変化弥生の花浅草祭」を、松緑、新・亀蔵コンビが溌剌と。山車の人形が踊り出す趣向で、まず舞台下手の常磐津をバックにして、晴れやかに「神功皇后と武内宿禰」。古事記の時代の皇后と相撲の元祖による戦物語。
上手から清元が登場すると一転、庶民的な宮古川(隅田川)の漁師による季節ものの「三社祭」へ。黒雲が降りてきて、面が面白い悪玉善玉。再び常磐津となって、浮かれた「通人・野暮大尽」へ。亀蔵が飄々としていい。
幕前のお楽しみ大薩摩で盛り上がり、ラストは一面の雪景色。舞台奥に長唄囃子が並んで、厳かな「石橋」だ。勇壮な獅子の毛振りで打ち出しとなりました。期待の亀蔵が清廉。外連味ではさすが松緑に一日の長があるかな。

昼の部、菊五郎の孫(寺嶋しのぶの長男)、眞秀(まほろ)くんの初お目見えでも話題の公演。変化に富んでいて面白かった~

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