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不信

PARCO Production「不信~彼女が嘘をつく理由」  2017年4月

三谷幸喜の書き下ろし新作&演出のサスペンスコメディ。人間誰にでも裏があり、大人はそれを見ないふりして生きていく、という現実を、俳優4人だけで笑いたっぷり、かつシニカルに描く。張り巡らせた伏線が巧妙で、90年代後半の古畑シリーズを彷彿とさせ、嬉しくなった。贅沢に東京芸術劇場シアターイーストで9000円。休憩を挟み3時間弱。

細長い裸舞台を客席が挟む格好。裏か表かわからない構造が、テーマを暗示するようで、まず面白い。ワンシチュエーションのイメージを覆し、室内や庭、スーパー、学校などなどの場面を、スツール数個の横滑りでスピーディーに転換していく。意表をついた美術は「太陽」「スルース」などの土岐研一。

物語は夫婦2組のご近所付き合い。マンションに越してきた高校教師の段田安則と年の離れた妻・優香が、隣室に住む公務員・栗原英雄の妻・戸田恵子の盗癖に気づくところから、嘘の連鎖が始まる。人物に役名はないけど、キャラクターはくっきり。会話のテンポがよく、しつこい家の臭いとか、まさかの鮪のアタマ、飼い犬を持ち出すドタバタなど、ギャグもさすがの切れ味だ。2度目の大河ドラマを完走した作家が、伸び伸びチャレンジしている感じか。

完成度の高さは、手練れ揃いの俳優陣の力も大きい。なかでも戸田の、妙に凛とした壊れっぷりに凄みがある。優香はあっけらかんと相変わらずチャーミング。優香に振り回されちゃう段田も、善人風でいてダークな面をちらちらと。「真田丸」で謀略担当の叔父・信尹(のぶただ)を演じて注目された栗原は、初見だけど切なさ、哀しさがいい味だ。劇団四季出身なんですねえ。面白かったです!

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